御浜小と神志山小 みんなで支え合いを 4年生が福祉授業で学ぶ

 御浜町の御浜小学校(矢賀睦都恵校長)で16日、熊野市身体障害者(児)福祉連合会々長の森岡寛佳さんや町社会福祉協議会職員を講師に、福祉に関する授業があった。同小と神志山小4年生計26人がお互いを支え合うことの大切さを学んだ。

 はじめに森岡さんが自身について講話した。高校卒業後に交通事故で首を怪我し、下半身が不自由になった。当時は現実が受け入れられず「これは夢だ」と何度も思ったという。

 入院先の施設で同じ障がいをもった人たちとの出会いが良い刺激となりリハビリに励んだ。最初はほとんど力が入らなかったが、徐々に筋力がついてくると車イスでの行動範囲が広がった。

 森岡さんの入院中にあった最大のイベントが二十歳の成人式だった。森岡さんは「会場の熊野市民会館は階段を登る必要があったため欠席しようと諦めていたが、友だちが『みんなで支えるから行こう』と言ってくれた。これほど嬉しいことはなかった。一生の思い出になった」と振り返った。

 子どもの頃から野球に打ち込んできた森岡さん。母校の木本高校野球部OBがマスターズ甲子園に出場した時は、撮影係として協力。「野球部のみんなに甲子園に連れて行ってもらった。先輩や後輩、マンパワーに支えられた」と話した。

 森岡さんは東京パラリンピックを機に、3年前から車イスバスケットを始めた。津市を中心に活動する車椅子ツインバスケットボールチーム「三重フロンティアズ」に参加。昨年は「お伊勢さんマラソン」のバリアフリーラン(約2㌔)にも挑戦したという。

 森岡さんは普段、パソコンを使った事務仕事をし、車でのドライブなども行っている。児童たちからは車イスで困ったことなど次々と質問が寄せられた。森岡さんは「車いすから落ちた時や、お店などで手動のドアを開けるのが大変。高いところにも手が届かない。20代の頃は何事も自分でやろうとして、声をかけられても断ることが多かった。障がい者も一人ひとり考え方が違います。手助けを断ることもあると思いますが、悪気はないので声をかけて欲しい」と答えた。

 最後に森岡さんは児童たちに「健常者も障がい者も一人では生きていけない。人を支える、支えてもらう。沢山の支えに感謝してこれからも頑張りたい。みんなも友だちから相談を受けたら、話を聞いて、一緒に考え、手伝いや応援をしてあげて欲しい。みんなで協力しあって」と呼びかけた。

 この後、児童たちは御浜町社協の職員から説明を受け、森岡さんと一緒にスクエアボッチャを体験した。ボッチャは体に障がいがある人たちのために考えられたスポーツで、ヨーロッパで生まれた。パラリンピックの正式種目でもあり、子どもからお年寄り、障がいのある人までが一緒に楽しめる。通常のボッチャは1方向だがスクエアボッチャは正方形のコートを使い4方向からプレーできる。児童たちは狙ったところにボールを落としたり、他のボールを弾き飛ばしたりするたびに歓声を上げていた。

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