熊野市飛鳥町神山の「熊野木工」で木工作家として活動する堀田陽平さん(40)が「地元の木の良さを知り、モノを大切にする心を育んで」と制作した、座面と背もたれ部分が熊野杉製の学習用椅子20脚が8日、五郷小学校へ導入された。同日、始業式を終えた全校児童が堀田さんらの指導で蜜蝋ワックスを塗って完成させ、喜びの声を上げた。
三重県紀南地域活性化局が「賑わいのある南部地域に向けて」の取組として実施する東紀州にぎやかプロジェクトにおいて、堀田さんは熊野杉が心身に与える好影響を踏まえ、木の良さを子どもたちに感じてもらうべく五郷小へ熊野杉を用いた椅子を導入する取組を提案。その実現に向けて進めてきたもの。活動への協力を募るクラウドファンディングには多くの支援が寄せられ、早々に目標金額を達成。当初の目標通り、3学期の始業式に間に合わせた。
この取り組みは堀田さんが子どもの入学式で同校の椅子に座った際「森林が豊富な地域なのに地元の木が使われていない不自然さがある。日々の学校生活で木を通じて地元の良さを知り、一度外へ出たとしても将来地元へ帰ってくるきっかけづくりにつなげたい」などとして発案。鉄部は再利用し、座面と背もたれ部分を熊野杉で制作した椅子2脚を制作して同校の特別支援学級へ提供したところ、ストレスの軽減や集中力アップなどの効果も見られたとし、全校児童分の導入を目指していた。正目だけを合わせ、座面をへこませてフィット感を出した椅子は児童たちにも好評。浦坪卓也校長によると座った児童からも「気持ちいい」との声が上がったという。
贈呈式では「全国92人からの支援を頂いて導入できました。一人ひとりが卒業するまで大事に使い、新入生に綺麗な状態で渡してもらえたら」と呼びかけ、小川耕太郎∞百合子社(賀田町)の小川百合子さんが蜜蝋ワックスの塗り方などを説明。児童たちは巡リサイクル(三木里町)を運営する黒川陽介、黒羽真弥さんから提供されたウェスを使ってワックス塗りと乾拭きを行って椅子を完成させ、子ども会の宇城桜真会長が「これからも大切に使っていきます」と感謝を述べた。
堀田さんは「今後も年間1~2回程度の手入れを行えば綺麗に使えると思います。自分のものでなく、みんなのものだという思いで大切に使い、次の人に繋いでいくという精神的な成長も期待したい。地元の木のぬくもりや良さを体感し、森林への学びにもつながれば」と期待。浦坪校長は「子どもたちにも『大事に使い、次の1年生にもつなげていこう』と話しました。長く使えるもので大変ありがたい」と感謝した。
なお、4月には飛鳥小学校にも同様の椅子を導入するという。

