御浜町議会の令和8年第2回定例会は16日、本会議を再開し一般質問を行った。17日までに9議員が町長の政治姿勢などを質す。初日は山本章彦、松本有希、安田圭太郎、髙岡洋の4議員が登壇。今期限りでの引退を表明している大畑覚町長は山本議員の質問に答え、3期12年の町政運営を総括した。一方、議長でもある髙岡議員との質疑では、3月議会の予算否決や市木消防車庫建設中止問題などを巡り激しい応酬となり、町長と議長の間に横たわる不信感が改めて浮き彫りとなった。
大畑町長は3期12年の総括で「重点6策プラスワン」を振り返り、高速道路整備、防災対策、若者定住促進、柑橘振興、教育環境整備、高齢者の生きがいづくり、観光振興などの成果を示した。高速道路では現在も紀宝熊野道路や関連道路整備が進んでいることを報告。柑橘振興では「みかん、やったらええやんプロジェクト」により新規就農者や研修生を迎えたことを成果として挙げた。
山本議員は今後の課題として高速道路パーキングエリア整備について質問。大畑町長は熊野市から紀宝町までの区間への設置を国などに継続要望していることを説明した。志原地区の津波避難タワー計画に関する予算が否決されたことについて山本議員は、議長の採決参加が否決原因であるかのような発言や、地方自治法の解釈を巡る大畑町長の発言に苦言を呈し「問題の発端は町長にある」と主張。住民説明会の開催時期を質したのに対し、大畑町長は「早期に意見交換会を開きたいが、現在の状況を見ながら判断したい」と答えた。
さらに山本議員は市木消防車庫建設中止問題について「次期町政に負の遺産を残してはならない」と強調。百条委員会設置の可能性にも触れながら、問題の全容解明と再発防止策、市木分団への明確な方針提示、土地所有者との問題解決に向けた法的対応の検討を求め「残り115日の任期の中で解決への道筋を示してほしい」と訴えた。
松本議員は総合計画後期基本計画の実施に伴う中長期的な財政見通しを質問した。町側は認定こども園や統合小中学校、インターアクセス道路整備など大型事業が続くことから一定期間は財政負担が増えるとの認識を示しつつ、「交付税措置のある有利な起債を活用し、将来に過度な負担を残さない財政運営に努める」と説明した。
また、市木消防車庫建設中止に伴う約1500万円の損失について大畑町長は「契約に基づき支払う必要があった費用」としながらも、「町として責任を痛感している」と答弁。松本議員は「町民への十分な説明が必要だ」と求めた。
また安田議員は、町が進めるキーカード事業やエリアマネジメント事業について、「せっかく税金を投入して価値あるデータを集めているのに、現状は数字の羅列にとどまっている」と指摘。データに基づく政策立案(データドリブン行政)への転換を求め、レポートグラフには目標に対する評価や要因分析、今後の対応方針を明記すべきだと提案した。
大畑町長は人口減少下で地域消費額を維持し商工業の持続につなげるため、キーカードなどで得られたデータ分析は重要との認識を表明。「勘や経験だけではなく、データに基づく施策が必要」と述べたうえで、安田議員が提案した評価や分析、今後の対応方針の記載について、エリアマネジメント調整会議へ提案していく考えを示した。
この日、最後に登壇した髙岡議員は、議会から町長へ提出した苦言書への回答を取り上げた。3月議会で志原地区津波避難タワー用地購入費を含む当初予算案が否決された際、自らが反対討論と採決に加わったことについて、町長が「議長の一票が結果に影響した」と発言したことに反発。「議会運営は議会の専権事項であり、町長が口を出す問題ではない」と批判した。
これに対し大畑町長は「議会運営に介入する意図はない」としながらも、「地方自治法116条の趣旨や議長の中立性、公平性の観点から議会内で整理してほしいと考えた」と説明した。しかし質疑は平行線をたどり、議事録の削除をめぐり質疑途中で休憩を挟む場面もあった。髙岡議員は「法律や会議規則に基づいて議会は運営されている。町長の思いや希望で議論しても着地点はない」と主張。町長は「私が感じたことを申し上げた」と応じた。
さらに市木消防車庫問題や志原地区津波避難タワー計画を巡っても、双方の認識の隔たりは埋まらないまま質疑応答が進行。一般質問の締めくくりは政策論争というよりも、町長と議長が互いに抱く不信感を印象づけるものとなった。

