人間国宝が魅力伝える 家康も楽しんだ音 金山小木本小伝統文化の能楽を体験

 熊野市金山小学校(山上克俊校長)と木本小学校(畑中祥司校長)で8日、それぞれ能楽体験鑑賞教室が開かれ、児童たちが日本の伝統文化に触れた。

 三重県教育委員会と公益財団法人岡三加藤文化振興財団による体験教室。同財団では岡三証券発祥の地である三重県の文化振興に寄与しようと助成事業を展開しており、その一環。人間国宝でもある能楽大倉流小鼓方十六世宗家の大倉源次郎さんらが来熊した。

 金山小では5、6年生を対象に行われた。大倉さんはじめ東京、大阪、京都から歌・踊りや笛、小鼓(こづつみ)、大鼓(ふとかわ)、太鼓を手に能楽師の五人囃子が能の魅力や歴史を伝えた。

 大倉さんは「能力を楽しむと書いて能楽。今日はしっかり見て聞いて楽しんで」と話し、能楽がユネスコの無形文化遺産であることや、能の源流をつくった観阿弥・世阿弥親子が三重県出身であることを紹介。「三重県の子どもたちに知っておいてほしい」と呼びかけた。

 能楽や演奏や踊りを披露し、楽器の特徴を解説。笛は10本あれば全て音色が違い、また、「イヨー」などの掛け声は指揮者のいない能楽演奏にとってお互いに意思疎通を図るためという。大倉さんが使用している小鼓は桜の木に馬の皮を張ったもの。桜の木は400年以上前のものが使われており、大倉さんは「皆さんが聞いている音色は、江戸時代の徳川家康たちが聞いた音と同じ」と話し、児童たちを驚かせていた。

 児童たちは踊りの基本となる姿勢や小鼓と大鼓の打ち方も教わった。能面を付ける体験もあり、最後は祝い事などで演じられる「高砂」の歌を練習し、能楽師の演奏に合わせて歌った。

 一方、木本小学校の同教室は市民会館で行われ、4~6年生が参加。大倉さんは「能楽と海外の音楽との違いを感じて。今日の体験を心に、これからも色々なものと出会って比較してくれれば嬉しい」と語った。児童の一人は「太鼓の音が鳴った時、びっくりしてピンと背筋が伸びた気がしました」と話していた。

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