墓前で思い強める 崎久保誓一さんの名誉回復を 大逆事件犠牲者を顕彰する会

 「『大逆事件』の犠牲者を顕彰する会」は18日、御浜町や新宮市、本宮町に眠る犠牲者6人の墓参りを行った。御浜町下市木の林松寺にある崎久保誓一さんの墓前では、冤罪とされる事件の名誉回復に向けた思いを新たにした。

 大逆事件は1910~1911年に明治天皇暗殺を企てたとされ、社会主義者や無政府主義者が不当に逮捕・処刑された。新宮市周辺では大石誠之助、成石平四郎さんの2人が死刑、高木顕明、峯尾節堂、成石勘三郎、崎久保誓一さんの4人が無期懲役の獄中生活を強いられた。

 新宮市議会では2001年に「6人は冤罪であっただけでなく、平等・非戦を唱えた先覚者」として名誉回復と「われわれはその志を継がねばならない」ことを宣言。御浜町の崎久保さんをのぞく5人については、新宮市や本宮町(現新宮市)議会でも名誉回復がなされている。

 明治期のジャーナリストだった崎久保さんは、明治43年に大逆事件に連座し死刑判決をうけるが特赦で無期懲役に減刑された。極寒の秋田監獄で19年の辛苦の日々を過ごし、昭和4年に仮釈放。戦後、復権が確定し、昭和30年10月30日に死去した。

 顕彰する会では大石誠之助さんが刑死した1月24日を前に、会員ら25人が墓参。林松寺では御浜町議会からも池上勝生、宇城公子が参列した。崎久保さんの家族と交友のある熊野市の作家、中田重顕さんは、崎久保さんに届いた手紙をもとに人柄や交流の逸話を紹介した。崎久保家には荒畑寒村の横額などもあったという。

 また、東京から駆けつけた参加者もあり、東京学芸大学名誉教授の渡辺雅之さんは「4~5年前に『太平洋食堂』を読み、大石誠之助のことをもっと多くの人に知ってもらいたいと感じた。今夏を目指し、大石誠之助の落語の人情噺を作っています」と語った。

 顕彰する会の今津崇元さんは「大逆事件には三重県で唯一、御浜町で『反戦、反公害、博愛、自由、平等』を掲げた正義感の強い崎久保誓一さんも巻き込まれました。新宮市、本宮町では議会が名誉回復を全会一致で議決している中で、御浜町はまだできていません。一日も早い名誉回復を強く願います」と訴えた。

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