「収穫楽しみ」と田植え 千枚田オーナーら約650人集う

 熊野市紀和町の丸山千枚田で20日、田植えの集いが開かれ、棚田のオーナーらが収穫を楽しみにしながら、自らの手で稲を植えた。

 日本の棚田百選にも選ばれている丸山千枚田は1601年には2240枚あったと記される。平成5年には530枚まで減少したが、地域住民らが「丸山千枚田保存会」を結成。多くの応援を得て、現在は1340枚まで復元している。オーナー制度は棚田保全などを目的に平成8年度から導入され、毎年、田植えや稲刈りの時期にイベントが行われている。今年度のオーナー数は154組166口885人。

 通常通りの開催は4年ぶりとなった田植えの集い。県内外から81組のオーナーや家族、ボランティアなど約650人が千枚田を訪れた。受付を済ませたオーナーたちは、早速、自分の田へ。各田んぼには、木本、紀南高校書道部が名前を書いた立て札が設置され、オーナーを歓迎した。

 オーナーたちは三重県の新品種「なついろ」の苗を手植え。子どもたちも泥に足をとられては楽しそうに歓声を上げ、田植えに励んでいた。

 午前10時30分からはセレモニーがあり、河上敢二市長が歓迎と、保全協力への感謝の言葉を述べ、エレコム社の協力により田んぼが20枚復田されたことや、木製の水車が新設されたことも紹介。来賓の県議、市議や県の各部長、相模女子大の関係者や生徒らが紹介された。なお、丸山千枚田では27日まで体験期間を設けており、23日に入鹿中、24日に入鹿小と入鹿保育所、木本保育所の子どもたちが田植えを体験。期間中は27組109人のオーナーも訪れる予定という。

 大台町から家族4人で参加した大矢徹さん(44)は「釣りなどでよく熊野へ来ていて、初めてオーナーになりました。大変だけど楽しくて、子どもたちもすごく喜んで、良い経験になりました。稲の生長を楽しみに、来られる限り千枚田に来たい」と汗を拭った。丸山千枚田保存会の喜田俊生会長は「オーナーイベントは分散すると楽しみが半減する。今年はこうして皆が集まって出来て良かった。稲刈りの集いもみんなで出来れば」と話した。

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