紀伊半島大水害を教訓に 世界遺産熊野川で水防演習 「防災の日常化」を促進

 平成23年9月1日から5日にかけて、三重県や和歌山県南部を中心に長期間にわたって激しい雨を降らせ、各地で浸水被害や土砂災害を発生させた「紀伊半島大水害」。これにより和歌山県で56人、三重県では2人が帰らぬ人となった。もうすぐ11年が経過する未曾有の大災害を教訓に、命を守る経験や地域防災力を未来に継承していく水防演習が28日、新宮市の世界遺産・熊野川を舞台に行われた。国土交通省、和歌山県、三重県をはじめ、当時被災した近隣市町村が一堂に会し、水防訓練、救出・救護訓練、避難訓練を実施した。

 演習は▽衛星通信車を使った情報伝達▽土砂に埋もれた車両や建物から人を救出▽川にとり残されて動けない人をヘリで救出▽漂流者をボートで救出▽重傷者の救急搬送▽トリアージ・応急救護―などが行われた。また、洗堀や越水、漏水などを防ぐ水防工法も実践。洗堀に対して「シート張工」、漏水には「月の輪工」、越水には「積土のう工」、法崩れには「築き廻し工」というように、状況に適した工法を迅速に選び対応していった。

 開会式で一見勝之・三重県知事、鈴木英敬・衆議院議員、二階俊博・衆議院議員、仁坂吉伸・和歌山県知事らがそれぞれ挨拶に立ち、11年前の記憶も月日が経つにつれて薄れていくことから、「防災の日常化」の促進が将来、防災・減災にかかる重要な要素となると強調。斉藤鉄夫・国土交通大臣は、近年、自然災害が頻発・激甚化していることにふれ、水害に強い国づくりが喫緊の課題だとし、「今年も出水期が近づいております。水防体制の一層の充実を」とコメントを寄せた。

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