熊野市の五郷小学校(浦坪卓也校長)と飛鳥小学校(二見哲生同)で12日、それぞれ田植え体験が行われた。児童たちが地域住民から教わりながら一本一本苗を手植え。昨年からの米不足が生活に影響を与える中、改めて農業や米作りの大切さを学んだ。
五郷小学校では12日、全校児童が同町の水田で田植え作業を体験。「ふる郷創生実行委員会」の大橋秀行世話人のアドバイスを受けながら、児童たちが昔ながらの手植えに取り組んだ。
五郷地区地域まちづくり協議会(中畑興二会長)らの協力を得て、小学校の社会科や総合的な学習の一環として毎年実施しているもの。これまでの学校近くの田んぼが使えなくなったため探していたところ、昨年から同町の舛屋積さんが平地区の田んぼを提供。学校田として活用している。
開会行事では児童を代表して子ども会の齋藤愛佳会長が「豊作になるよう頑張るので、よろしくお願いします」と挨拶。世話人の大橋さんが「米作りは縄文・弥生の時代から3000年の歴史があり、どんな災害があっても続けられてきました。米の値段が2倍に上がっているので、たくさんとれるよう頑張りましょう」と話し、苗の植え方などについて説明した。
この後、児童たちは田んぼへと入り低農薬・有機米のコシヒカリ「ホタルの光」の田植えを開始。泥に足を取られながら農に親しみ、「水が冷たい」などと笑顔を浮かべて作業を進めた。今年は天候の影響で例年より田植え面積が少なく、作業後、児童たちから「もっと広く植えたかった」との声が上がり、関係者を喜ばせたという。
収穫した米の一部はいいさと秋祭りの景品などに使われるほか、児童たちにプレゼントする予定という。
飛鳥小学校は12日、飛鳥町佐渡地内の水田で田植え体験を実施。全校児童が泥にまみれながら農に親しんだ。
総合学習の授業の一環として、地域の協力を得ながら農作業の喜びや苦労、協力し合う大切さを学び、地域とのつながりを深くすることなどが目的。同校ではこれまで、小又地区の田んぼアートなどで田植え体験を行ってきたが、昨年度からは佐渡地区の庵前亮さんが同地区にある7㌃の田んぼを提供している。
この日は庵前さんが「5・6年生にはスジ付けも行ってもらいます。稲を植えた後はしっかりと土を戻してください」などと作業説明し、早速5・6年生が昔ながらの道具で植える場所の目印となるスジを付けると、庵前さんの指導で田んぼに入って手植えを体験。泥に足を取られながらもコシヒカリの苗を丁寧に植え、収穫の秋に思いを馳せていた。