地域の中学野球再興に 尾鷲~矢渕の49人参加 熊野BBCが活動開始

 くまの健康スポーツクラブによる、中学生を対象として新たにスタートした軟式野球教室が本年度より、クラブチーム「熊野ベースボールクラブ」として本格的な活動をスタート。代表に赤阪俊一さん、監督に上野大樹さん(御浜中教諭)を迎え、尾鷲、木本、有馬、御浜、阿田和、矢渕の各中学校から3年生9人、2年生17人、1年生23人の計49人が集った。参加者には女子生徒や中学から野球を始めた生徒もおり、経験の有無に関わらず阿田和中学校を主会場とする練習や各地での試合に励んでいる。

 現在進行中の中学部活動の地域移行や、部員数の減少が著しい中学校野球部の存続を危惧する声に応え、昨年度から新たにスタートしたもの。近年、この地域の部活動では、野球部員の減少により2~3校の合同チームで試合に出場することが増え、夏の中体連終了後と新入生が入部する4月の年2回、人数等に応じてチームの組み換えも行われてきた。その状況を鑑み、3年間同じメンバーで安心して野球に取り組める環境を整備したいとの思いから、クラブチームの立ち上げに至った。

 スタッフは上野監督を中心に各校の野球部顧問が脇を固め、スポーツクラブでの指導経験豊富な面々も協力。上野監督は「各校の顧問がスタッフとして情報を共有することで、平日の練習にもつながります。選手たちにはこのクラブチームでの活動を『平日の部活動や個人練習の発表の場』と話しており、競争して成果を見せあうことでレベルアップにもつなげたい」と相乗効果を期待する。

 現在は選手を入れ替えながら毎週末に試合を組み、試合参加メンバー以外も別会場で練習や練習試合を実施。今月17・18日は県大会、6月には多くのチームが参加するくまのベースボールフェスタ交流リーグ、7月には県総体と大会が控えており、実戦と練習を繰り返しながら強化を図っている。

 連休中の全体練習となった3日は、上野監督が時間やルールを守ることの大切さを説き「早めに来て準備し、時間が来たと同時に練習に入れるのは当たり前。また、学校や社会のルールを守れない者はこの場所に来なくて良い。クラブチームとして全員ができないと応援してもらえない。約束事として大切にしよう」と呼びかけ、練習がスタートした。

 チームは「周幸力~自己の価値を高め、他者貢献できる人間に~」という指導理念の通り、野球だけに限らず人間性の向上にも注力。「野球で評価される場面は野球の場だけだが、野球を通じて学んだことは、自身の人生において自分を守る糧となってくれる。これから社会に出て『逃げたい』『やめたい』という気持ちになった時にも、歯を食いしばって頑張れるような選手を育てたい」とし、個々やチームでの約束事も厳しく求めていく。

 上野監督は「子どもたちはもちろん、スタッフや保護者の皆さんが毎週の楽しみになるような、満足度の高い活動となるよう方向性を探っています。もちろん、ここを選んでくれた選手たちの想いは『上手くなりたい』、『強くなりたい』ということなので、それに応えながら人間性も育てていきたい。まだ発足したばかりで課題もたくさん出てくると思いますが、地域の中学野球を盛り上げていけるようスタッフ一同連携して取り組んでいきます」と力を込めた。

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