色よく出来上がる 育生の童心窯で窯出し

 熊野市育生町長井の「童心窯」で14日、窯出しが行われた。色合い良く出来上がり、参加者たちが満足の行く仕上がりに喜んだ。

 童心窯は北山村出身の陶芸家・橋詰洋司さんが「焼き物の面白さを伝えたい」と、2010年3月、育生町に住む実母の用地内に自力で窯を建てた。童心窯の名前は、橋詰さんが修行した日本六古窯の一つ、滋賀県信楽の「靖童窯」を主宰する靖童先生から一文字をもらい受け「童心に返り遊び心で楽しむ」という意味が込められている。

 同窯に火を入れるのは毎年4~5月と10~11月にかけ年2回。窯の温度を1250度~1300度ほどまで上げ、1週間ほど昼夜を問わず、交代で温度を保つ。

 窯出しとなった15日は完成を楽しみに住民や関東などからのリピーターらが童心窯を訪問。橋詰さんらが作品一つひとつを丁寧に取り出した。色などの仕上がりは炎だけが知る。参加者の中には花瓶の足の部分の色が予想以上に鮮やかな仕上がりとなり「逆さまにして飾り物にしようか」と笑う人も。訪れた人たちは器や植木鉢、一輪挿し、オブジェなど自分や仲間の作品を鑑賞し、和気あいあいと交流を深めた。

 橋詰さんは「毎回、詰め方とか薪の具合によって出来具合が違いますが、今回もそれなりに焼けました。作品数は最近では多い方で、窯がもう一杯一杯。出来上がりを見るのが一番の楽しみです」と話していた。

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