ジャジャツクに挑戦 飛鳥小 4年生が伝統文化体験

 熊野市飛鳥小学校の4年生5人が28日、神山生活改善センターと光福寺で地域に伝わる「ジャジャツク」と「祝い唄」を学んだ。

 「ジャジャツク」は釣鐘と大太鼓を並べた楽器。打ち手が右手にシャマタと呼ばれる二股の打棒を持ってジャジャツクを鳴らすと、鐘と太鼓は同時に鳴って音を刻む。左手にはシュモクと呼ばれる内棒で時折、鐘や太鼓を鳴らしリズムをひきしめて、独特の雰囲気をかもし出す。江戸時代末期に、熊野地方の曹洞宗の各寺で盛んに行われていたと言われているが、現在では飛鳥町神山の光福寺のみで行われている。昭和44年には熊野市無形民俗文化財に指定された。

 この日は同町の福田哲夫、福村直昭さんが講師を務めた。福田さんが子どもたちに地域の伝統を知ってもらえることを喜び挨拶。福村さんが「ジャジャツク」について紹介した。

 福村さんは「ジャジャツクは鐘と太鼓を『ジャンジャンつく』という言葉からきている。江戸時代、300~400年前に始まり、伝わってきている貴重なものです。演奏のリズムは特に決められておらず、自己流で結構と言われています」と話した。基本の音は「ドドドン、ドン」。「セリ」と言われる中盤の盛り上がりが重要で、昔の人たちが「見様見真似」で受け継ぎ、作り上げてきたという。

 また、「祝い唄」はめでたい席で歌われてきたもの。福村さんは「昔はスマートフォンもテレビもなく、皆が集まれば手を叩いて歌を歌って楽しんだ。お祭りや結婚式、建前、正月などに『よいころ節』、嫁入りなどのおめでたいときに『伊勢音頭』を歌った」と説明。福田さんが「アー、ヨイサー、ヨイサー」と唄声を響かせた。

 映像で過去の演奏を視聴したあと、福村さんが模範演奏を披露し「夏に遠くから雷がだんだんと近づき、大きな雷鳴を轟かせてから去っていくというイメージ」などと表現した。児童たちもジャジャツクを体験し右手で「刻み」、左手で「打ち込み」を同時に打ち鳴らす独特の演奏方法に悪戦苦闘しながら、練習を重ねた。

 この後、児童たちは光福寺に移動し、実際のジャカツクの道具を見学し、演奏も体験した。福田さんらは「ずっと昔から伝わってきている神山にとって大事な財産。なんとか続けていって欲しい。覚える新しい人が出てこないかなと願っています」と話していた。

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