美味しい“どぶろく”を 大森神社御神酒の仕込みに励む

 「天下ご免の奇祭」として知られる熊野市育生町、大森神社の例大祭(11月23日)に向け、名物の「どぶろく」の仕込み作業が進められている。同神社の御神酒醸造所には早くも果実のような芳醇な香りが漂い、今年もおいしいどぶろくの出来上がりに期待が高まっている。

 鎌倉時代に創建されたと伝わる同神社では、毎年11月23日の例大祭で参拝者にどぶろくを振る舞うことから「どぶろく祭り」として親しまれている。どぶろくは秋の収穫に感謝して奉納する御神酒で、明治以降も特別な許可を受けて醸造を継続。こうした祭礼用のどぶろく造りは伊勢神宮や飛騨・白川郷と並び、東海地方でも珍しい伝統として知られる。例年、県内外から多くの参拝者が訪れる。

 仕込みを担当するのは氏子総代長の西正司さん(70)、氏子総代の市村善之さん(66)、檜作正則さん(70)の3人。今年は19日から作業を始め、地元産コシヒカリを使って、どぶろくのもととなる「酒母」を造った。

 21日には3段階の仕込みの最初となる「初添」を実施。湧き水で洗った米を蒸し、約20度まで冷まして大きな樽に入れ、こうじや水などを加えた。発酵を促すため、朝昼晩の1日3回、丁寧にかき混ぜる手間のかかる作業が続く。

 発酵熱で温度が上がりすぎると品質に影響するため、温度管理には細心の注意が必要。エアコンも活用し、時には徹夜で見守ることもあるという。23日に2回目の「仲添」、25日に最後の「留添」を行い、例年並みの約230㍑を醸造する予定。その後も例大祭まで、西さんらが朝昼晩の撹拌や温度管理を続ける。

 西さんらは「どぶろくは秋の収穫に感謝し、氏神様に奉納するもの。例大祭では、おいしいどぶろくを楽しんでもらえるよう頑張ります」と笑顔で話した。

 例大祭は11月23日午前10時から神事が営まれ、正午ごろからどぶろくが振る舞われる。同神社では多くの参拝を呼びかけている。

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