俳人にとって最も栄誉ある賞と言われる公益財団法人・俳人協会が選定する「第64回俳人協会賞」に選ばれた御浜町阿田和の谷口智行さんが『俳句の深層』(邑書林)を記念出版した。ここ5年間の俳句結社「運河」はじめ総合誌、医師会雑誌などに書いたものを分類・改稿しまとめた。頒価2200円(税込み)。
谷口さんは昭和33年京都生まれで、2歳から新宮市で育つ。平成5年に両親の出身地である阿田和に「谷口クリニック」を開業した。同年、中上健次が開設した「熊野大学」の俳句部に入部。同7年に「運河」に入会して茨木和生さんに師事した。同16年に三重文化奨励賞を受賞、同24年に「運河」編集長に就任。30年からは副主宰を務めた。令和4年に茨木さんから指名を受け主宰に就任した。
今年1月、谷口さんの第4句集『海山』(邑書林)が栄えある俳人協会賞に輝いた。記念出版した『俳句の深層』の冒頭、谷口さんは「運河」に受け継がれてきた理念や師系を尊ぶ「酬恩」の心、投稿の場を確保し維持していく覚悟などを綴っている。