新年度も大型の予算編成 河上市長が定例会見

 熊野市の河上敢二市長は15日、定例記者会見を行い、市の人口規模からしても積極的で大型の編成となる総額170億2905万円(前年度比3・7%減)の令和5年度当初予算案など2月市議会へ提出する21議案や、コロナの影響、主な新規事業、金山町で整備する大型農業関連施設「熊野アグリパーク」などについて説明した。

 一般会計当初予算案は131億4198万2千円で前年度比3・4%の減額。河上市長は「令和5年度はまちづくりの根幹となる第2次熊野市総合計画の後期基本計画のスタートの年。人口減少などの重要課題に対し、これまで以上に危機感をもって熊野市の未来を見据えた各施策を深化・発展させていく必要がある」とし、新規事業などについても説明した。

 5年度予算では地方創生の取り組みについて、特に人口減少に危機意識を持ち、人口流出抑制、増加対策として小・中学校給食費完全無料など県下トップレベルの子育て支援施策を継続する。主な新規事業としては若者の市内定着と事業所の人材確保へ、奨学金返還支援事業を実施。これは市の奨学金の貸与の部分について、大学生や専門学校等についてはひと月5万円を限度として貸与していたものを10万円まで引き上げ、貸与人数も20人まで拡大する。さらに熊野市に戻って一定期間熊野市に住んだ場合には返還への支援を行い、10年間熊野市で就業すると最大240万円の支援が受けられるうえ、指定する業種では更なる支援もできるよう基金を積み立てていく。合わせて、出産祝いレインボー商品券支給事業では1人目で10万円、2人目は20万円、3人目は30万円の支援が受けられるよう仕組みを改めた。

 集客交流の分野では学習体験交流施設の運営事業で中心市街地への更なる誘客・周遊を促進。紀和町のトロッコ電車施設も車両やレールなどを更新していく。さらに海岸部のビューポイント整備など滞在型観光の推進を強化し、スポーツ集客の更なる拡大・振興にも取り組む。

 また、農業ではICT技術を駆使した獣害対策を強化。林業では森林経営管理制度実施事業と合わせて地元産材の利用拡大・輸出の推進や森林整備を実施する。水産業では引き続きアコヤガイ母貝の養殖や遊木小学校の空き教室を活用した陸上養殖、アワビ増養殖などの試験的な取り組みも支援。商工業では人材確保対策や事業者DX推進、在宅ワーカー育成などに取り組む。熊野地鶏の一貫生産を行う種鶏舎も整備する。

 福祉では、「こどもは宝・未来への希望基金事業」で保育料無料など従来の手厚い支援を継続。子ども家庭総合支援拠点を中心に寄り添った対応を行い、出生数増加へ婚活支援にも注力する。

 学校教育では「ICT教育実施事業」により英語教育やプログラミング教育をより充実。市街地整備では記念通り商店街の無電柱化や交通体系の整備も進め、防災面では行方不明者の捜索や災害情報を俯瞰的に把握できるよう、サーマルカメラ付きドローンを整備する。

 会見では新型コロナウイルスの影響について説明し「事業への影響については『悪化』が減ってきており、明るい兆しも若干見えてきたかなというところ」と更なる好転に期待した。

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