紀南の生徒は防災提案 三重県議会 4年ぶりに高校生議会

 三重県議会は22日、高校生が議会活動を体験する「みえ高校生県議会」を開いた。県下8校の高校生26人が県議会議事堂で地域間の教育格差や防災、福祉など県政に対する質問や提案を行った。

 議会に関心を持ってもらうとともに、生徒の意見を議会の議論に反映する目的で平成26年度から隔年で行っているもの。前回は新型コロナウイルスの影響で中止しており、4年ぶりの開催となった。

 桑名、暁、四日市、四日市南聾学校、飯南、名張高校と東紀州地域からは紀南高の生徒が参加。生徒たちは学校ごとのグループに分かれ、事前に議論したテーマに基づき質問した。

 紀南高校からは登立海月、前川賢翔さんが登壇。JRC(青少年赤十字)部に所属している2人は救急法講習会や骨髄バンクPR動画作成、車椅子寄贈、学校防災ボランティア事業への参加などの取り組みを紹介した。

 2人は東日本大震災の被災地である石巻市を訪問した際に、避難所を示すピクトグラムが外国人や子どもたちにも分かりやすく印象的だったことから、紀南高校周辺により分かりやすく大きなピクトグラム設置を目指していることを語った。また、同高では地元企業や道の駅とのコラボで商品開発・販売に成功しており、2人はこれらの実績を活かしピクトグラムや乾パン、安否確認ステッカーを開発したい考えを訴え、県の資金援助制度や防災対策を質問した。

 答弁にたった防災県土整備企業常任委員会の正副委員長は「皆さんのやる気と行動力に感銘を受けました。大変素晴らしい取り組み」と述べ、避難所の安全対策の整備費用補助など県の支援制度を示した。災害への備えとして、Myまっぷラン(プラス)の取り組みも紹介し「住民一人ひとりが自分の避難場所や経路、家族の連絡先、非常持ち出し品を書き込めるようになっており、県ではこれを活用し、家族などで避難の話し合いをするきっかけづくり、地域の防災計画策定促進につなげる取り組みを行っています。ぜひ、皆さんにも書き込んで使っていただきたい」と呼びかけた。

 各学校からは教育の地域間格差や児童虐待、聴覚障がい者を理解する社会の醸成、過疎地域での訪問医療などの質問があった。最期は県議会広聴広報会議座長の藤田宜三副議長が「質問や提案は今後の議会で大いに活用したい」と締めくくった。

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