みえ風水害対策の日シンポジウム・防災講演会「紀伊半島大水害に学ぶ~災害から15年を振り返る~」が5日、紀宝町生涯学習センター「まなびの郷」で開かれた。約250人が来場し、大水害の教訓を振り返りながら防災の重要性を考えた。パネルディスカッションでは、町防災対策課の堀勝之課長が、線状降水帯に対応したタイムライン(事前防災行動計画)の構築に向け、調査・研究を進める考えを示した。
三重県、三重大学、みえ防災・減災センター、津地方気象台、紀宝町の共催。大水害から15年の節目に、災害を風化させず、県民が備えるべきリスクや対策を考える機会とし、専門家2人の講演とパネルディスカッションを行った。
一見勝之知事は災害復旧支援の派遣隊「TEC―MIE(テック三重)」の創設など県の取り組みを紹介。「キーワードは事前防災。水害はいつどこで発生してもおかしくない。起こる前に何が起こるかを予測しておかないといけない」と呼び掛けた。
向井美樹也町長は、大水害を教訓に全国に先駆けて自治体として風水害タイムラインを導入したことに触れ、「一人一人が『自分の命は自分で守る』という意識を持ち、正しく情報を理解して早めに動くことが大切」と強調した。
町総合防災行政アドバイザーで東京通信大学特任教授の松尾一郎さんは「『タイムライン』で避難の壁を乗り越える!」と題して講演。紀宝町でタイムラインが策定された経緯を振り返り、近年の水害では記録的な雨に大潮が重なった例を挙げ、「水害を考える時、河口の潮位も見ておかないといけない」と指摘。「タイムラインは作るだけではなく、紀宝町のように使い続けないといけない」と、行政と住民がともに取り組む重要性を訴えた。
津地方気象台の山本治台長は、5月に運用が始まった新たな防災気象情報について講演。河川氾濫、大雨、土砂災害、高潮に関する情報を5段階の警戒レベルに合わせて発表することや、警戒レベル4相当の「危険警報」、線状降水帯などの顕著な現象に関する「気象防災速報」などを解説した。
パネルディスカッションでは、三重大学の川口淳教授をコーディネーターに、町自主防災組織連絡協議会の新宅良仁会長、堀課長、県、津地方気象台の担当者らが意見を交わした。堀課長は、台風など一定のリードタイムがある風水害にはタイムラインが有効な一方、線状降水帯では「従来の3日前から準備するタイムラインでは、急激な水位上昇や浸水への対応が間に合わない」と指摘。気象庁による半日前の広い範囲の予測や3時間前の直前予測、発生情報などを活用し、「線状降水帯に対応したタイムラインの構築に向け、有効な実践方法を早急に調査・研究していきたい」と述べた。
新宅会長は「大水害を通して、早めに避難すること、いざという時に助け合えるよう日頃から地域のつながりを大切にすることを学んだ。水害での経験を次の世代に伝えていきたい」と語った。

