熊野市学校適正配置検討委員会 統合やむなしの空気 想像以上の児童減少に危機感

 熊野市教育委員会は24日、市文化交流センターで令和8年度第1回市立学校適正配置検討委員会(榎本和能委員長)を開き、学校規模によるメリット・デメリットや今後の方向性について意見を交わした。想像を超える厳しい児童生徒の減少見通しに、統合はやむを得ないという空気が漂った。

 同委員会は学識経験者や保護者、学校関係者ら12人で構成。少子化や地域特性を踏まえ、教育環境の充実と効率的な学校運営の両立を図る目的で3月27日に初会議が行われた。今年度は計6回の会合を予定し、来年3月の答申を目指す。

 委員会では学校規模と教育効果の関係について具体的な課題が共有された。小規模校では「クラス替えができず人間関係が固定化する」「部活動や集団活動の選択肢が限られる」といった課題がある。一方で、大規模化すれば「一人ひとりの活躍の場が減る」「個の把握が難しくなる」との懸念も示され、単純な優劣では語れない現実が浮き彫りとなった。

 市教委の説明では市内の現状は厳しい。小学校8校の児童数は563人、中学校5校は317人にとどまり、文部科学省が示す標準規模(12~18学級)を満たす学校はない。複式学級は小学校8校中5校で導入されるなど、極小規模化が進行している。中学校でも多くが単学級で、3年間クラス替えができない状況が続く。

 今後10年の児童生徒数の推移を見ると市内でもっとも児童数の多い金山小は今年度198人が令和18年度には28人。井戸小は今年度116人が12人、有馬小97人が28人、木本小は31人が13人となる推計が示された。

 人事異動の関係で今年度から新たに委員となった松田元さん(紀南中学校長会長)は、複式学級の負担や教員確保の難しさに触れ、「極小規模では学校として成り立たない場面もある」と指摘。同じく新委員の松田有紀さん(小学校長会長)も「友だち同士の刺激や学び合いには一定の人数が必要」と述べた。二人は現役の校長で、学校運営での施設のランニングコストなど財政面、教員や給食調理員といった人材確保面での課題なども示した。

 一方、保護者や地域の立場からは「小学校は歩いて通わせたい」「地域に学校を残したい」といった思いもある。委員からは統廃合を視野に入れつつも、スクールバスの整備や地域コミュニティの維持など、生活環境を考慮する声。オンラインで各学校を繋ぐ熊野学園構想といった大胆な発言や、「熊野市は面積が広い。御浜町と紀宝町と同じようには行かないのでは」「地元の学校を残してほしいが、児童生徒数をみると理不尽か」「統合するなら保育所も一緒に」といった意見も出た。

 倉本勝也教育長は「多様なご意見を頂きました。厳しい状況は共有できたと思います。話し合っていただいた内容で可能な限り子どもを中心に据えた方向で考えてまいりたい」と述べた。榎本委員長は「極小規模校の課題と、一定規模の学校の必要性が見えてきた。地域性や通学距離も含め、総合的な議論が必要」と総括。今後は保護者や児童生徒へのアンケート、学校運営協議会での協議などを通じ、幅広い意見を反映させていく。次回の委員会は6月25日に開催予定。

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