一見勝之知事と西田健・紀宝町長による「知事と市町長との円卓対話」が23日、きほう健康ぷらざで行われた。両者は①南海トラフ地震をはじめとした防災・減災対策②地域を守る公立病院および介護事業所の支援③人口減少対策―をテーマに意見交換、地域の課題等について議論を交わした。
はじめに、西田町長が町内での津波避難タワー整備や浸水対策状況を紹介したほか、一般国道42号紀宝熊野道路を含めた近畿自動車道紀勢線の早期全線開通への想いを強め、地域の防災・減災力向上へ理解と協力を求めた。これを受け、一見知事は「地震の一撃から身を守るには、まず家屋倒壊への備えを強化すること。次に大津波から逃げるための避難タワー整備。避難所の機能強化にも補助金を使っていただきたい」と話し、県としての協力を約束した。
続いて、西田町長は地域医療の現状について、紀宝町、御浜町、熊野市の3市町で運営している紀南病院を含め、当地域の公立病院は物価高騰や人件費の上昇によって厳しい運営状況にあること、介護事業所では人材不足によって持続可能な運営が難しいことを説明。国に対しても診療報酬や介護報酬の見直しや経費負担の削減策、制度的な支援要請など強力な後押しを訴えた。一見知事は物価上昇には賃金や金利を上げることが必要だと見解を示す一方、国が取り組むべき構造的な問題であり、地域単位での対策では抜本的な解決には至らないと危機感。持続可能な地域医療の存続のため、情報把握に努めて必要に応じて国への働きかけを強めていくと応じた。
最後に、西田町長は町の人口動態にふれ、国・県・市町が一体となって少子化・人口の自然減対策に危機感をもって取り組む必要性を強調。県に対して、国への人口減少対策をこれまで以上に積極果敢に取り組んでもらうよう働きかけてほしいと求めた。
一見知事は、来年2月をもって勇退する西田町長に対して、鵜殿村長を含めて25年、四半世紀にわたって村・町政のタクトを振るってきたことに敬意を表し、「知事として誇りに思う」とねぎらいの言葉。西田町長は「紀伊半島大水害やコロナ禍もあったが、一番うれしかったのは新宮紀宝道路の開通。知事はもちろん、地域のみなさまに深く感謝したい」と話した。
また、西田町長との対話の後は「知事と県民との円卓対話」が行われ、一見知事は紀宝町移住定住サポートデスク職員や町への移住者と交流。『移住者のみなさんの紀宝町への想い』をテーマに語り合った。
参加者は、紀宝町での生活の様子や町の良い所、イメージと違ったところ、以前住んでいた都市部との違い、人と人との繋がりが強いなど〝生の声〟を共有。一方、車移動がほぼ必須になる、子どもの通う学校が遠いといった田舎暮らしの苦労も明かされた。

