老朽化が著しい熊野市民会館のピアノ新調を目指して立ち上げた「熊野市民会館ピアノ購入支援プロジェクトチーム」の発起人である小林朋香さんが22日、熊野市政記者室で会見。設定金額1300万円のクラウドファンディングは失敗に終わったものの、市内外の222人から347万9000円もの支援があったことに感謝し、11月議会での2人の市議からの質問に対し、河上敢二市長から前向きな言葉が得られたことに期待を示した。なお、寄付金は全額返金となる。
小林さんやピアノ調律師の大西拓さんによると、市民会館で使用されているピアノは少なくとも55年が経過しており、これまでにも度々部品交換など修理を重ねてきたが、根本的な部分である本体の老朽化が著しいうえ修繕不可能な部分も出てきているとのこと。音色や音の響きはもちろん、鍵盤のタッチにも影響が出てきていることからピアノの新調を検討したが、希望するクラスのピアノは新品で約2000万円とあり、市と交渉を重ねるも不調に。その後、中古で状態の良い1045万円のグランドピアノを探し出し、クラウドファンディングでの資金調達に挑戦していた。
資金集めはクラウドファンディングサービス「READY FOR」で行い、当初から59日間という短期間での実現は困難と見られていたが、多くの賛同者が支援。結果は222人から347万9000円もの寄付があり、運営会社も「目標には届かなかったが、すごく多い人数。サイトの観覧者も多かった」と驚いたという。
また、期間中には熊野市議会一般質問で2人の市議がこの取組について取り上げ、市の考えなどを質問。その中では河上敢二市長や倉本勝也教育長から前向きな答弁が得られ、1月早々にも調査が入ることも決定しているとのこと。小林さんは「必要性を認めていただいた河上市長の言葉で報われました」と期待を込める。
小林さんは「購入予定だった中古のピアノはキャンセルし、今後は市が依頼した専門家の調査結果を受けてどうなるか。少しでもこちらにできることがあればプロジェクトチームとしても協力したい。クラウドファンディングでの皆さんの反響は想像以上で、音楽や文化への強い関心を感じました。多くの皆さんに協力を頂きありがとうございました」と感謝。「返金はカードの場合は返金になっていると思いますが、コンビニや銀行振り込みの場合はREADY FORから返金手続きのメールが来ていると思うので、そこから手続きをよろしくお願いします」とした。

