熊野市紀和町の丸山千枚田で17日、田植えの集いが開かれ、〝恵みの雨〟が降り注ぐ中、各地から訪れたオーナーらが収穫を楽しみにしながら田植えに励んだ。
日本の棚田百選にも選ばれている丸山千枚田は1601年には2240枚あったと記される。平成5年には530枚まで減少したが、地域住民らが「丸山千枚田保存会」を結成。多くの応援を得て、現在は1340枚まで復元している。オーナー制度は棚田保全などを目的に平成8年度から導入され、毎年、田植えや稲刈りの時期にイベントが行われている。本年度のオーナー数は207組235口。
この日は、県内外から97組のオーナーや家族、ボランティアなどが千枚田を訪れた。受付を済ませたオーナーたちは、早速、自分の田へ。各田んぼには木本、紀南、熊野青藍高校書道部が名前を書いた立て札が設置され、オーナーを歓迎した。また、会場では入鹿中学校の生徒たちが長靴の貸し出しや田んぼの案内などボランティアで協力した。
オーナーたちは降り注ぐ雨も何のと三重県育成品種「なついろ」の苗を手に丁寧に手植え。子どもたちは泥に足をとられては楽しそうに歓声を上げ、田植えに励んでいた。
午前10時30分からはセレモニーがあり、河上敢二市長が歓迎と、保全協力への感謝の言葉。来賓の県議、市議や県の各部長、神奈川県から訪れた相模女子大の関係者や生徒らが紹介された。なお、丸山千枚田では26日まで体験期間を設けており、期間中は16組46人のオーナーも訪れる予定という。
岐阜県多治見市から家族5人で参加した星野敬太郎さん(41)は「ニュースなどで見たことがあり、今年初めてオーナーになりました。子どもたちが大きくなってお米をよく食べるようになったので、こうした大変な作業を通じてお米を食べられるありがたみを感じてもらえたら。丸山千枚田は景色も良いし、子どもたちにも良い経験になったと思います」と笑顔を見せていた。