73年の伝統は心の中に 五郷中が校旗返納式

 令和2年3月31日で休校となった熊野市立五郷中学校の校旗返納式が25日、同校音楽室で執り行われ、令和元年度卒業生の北岡亜加音さんから熊野市教育委員会の倉本勝也教育長へ校旗が返納された。

 同校は戦後間もない昭和22年5月に五郷村立五郷中学校として創設。これまでに2308人の卒業生を輩出した。昭和29年11月の町村合併により熊野市立五郷中学校となった。昭和30年ごろには200名を超える在籍生徒が学んだが、昭和40年度から減少傾向に。学校林の寄贈による林業体験に取り組み、昭和54年には全国学校林コンクールに入選するなど様々な活動を行ってきたが、生徒数の減少によって学校の活動規模も縮小化し、平成30年からはコミュニティスクールとして地域と共に子どもを育む教育活動を推進してきた。なお、同校舎は令和6年度から、五郷小学校としての活用が決まっている。

 休校式は令和2年3月の開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により見合わせていたもの。現在は感染状況が落ち着ていることから、休校の節目として校旗返納式を執り行うこととなった。

 返納式では自身も卒業生である倉本教育長が「地域とともにある学校として、地域の皆様の心の拠り所、地域文化の拠点としての役割を果たしてきたが、時代の流れの中で輝かしい歴史に幕を閉じることとなりました。しかし、伝統は皆さんの心に生き続けると信じています」と式辞を述べ、来賓を代表して大橋秀行市議と学校運営協議会の舛屋洋子会長が「休校には残念な思いもあるが、五郷小学校としての活用が決まっており、いわば新たなスタート。町民が力を合わせ、次の学校を守り育てていきましょう」と挨拶。令和元年度卒業生の北岡さんが「私が入学した時は全校生徒6人、2年生では各学年1人ずつの3人でしたが、少人数だったため地域と関わる機会が多く、貴重な体験もたくさんできました。休校は寂しいですが、過ごした思い出や学んだ経験は忘れません」と五郷中への思いを語った。

 続いて北岡さんが倉本教育長に校旗を返納し、最後の校長となった下古谷克典さんが様々な面で支え続けた地域へ感謝の言葉。出席者で記念撮影し、出席者が思い出などを語り合っていた。

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