「生き抜く力」育んで 熊野市学校防災研修会

 令和4年度第1回熊野市学校防災対策推進研修会が23日、井戸町の市文化交流センターで開かれ、各校の防災担当者ら14人が参加。市の取り組みや三重大学大学院工学研究科の川口淳准教授による防災講話に耳を傾けた。

 各校がおかれている地理的、地域的実態に応じた防災対策、児童生徒の実態に応じた防災教育を推進するための研修会。はじめに熊野市防災対策推進課の松口祐二さんが「災害について」をテーマに市の取り組みを紹介した。

 松口さんは熊野市で予想される災害として▽水害▽土砂災害▽地震▽津波―を挙げ、熊野市の地形の特徴や南海トラフ地震で想定される理論上最大クラスと過去最大クラスの地震や津波について紹介。紀伊半島大水害など風水害についても触れ、避難路や誘導灯、看板の整備状況、避難所マニュアル作成や防災学習、各種訓練などについても取り組みを説明し「熊野市では全市民が生き抜くために総合的な対策を行っている。防災教育等にも力を入れているので、ぜひご協力を」などと呼び掛けた。

 続いて川口准教授が「巨大災害への備え~この地域で子どもたちに教える防災~」をテーマに講話した。川口准教授は「東日本大震災で誤った避難計画と避難誘導により全校児童108人の7割に当たる74人が死亡、行方不明となった大川小学校の悲劇を繰り返さないために、教師として何をしなければならないか。多くの死者・行方不明者が出た閖上地区のようにならないため、最悪の事態を想定して安全側に舵が切れるかどうか。相手は南海トラフ巨大地震。いまだかつて経験したことのない想定となっており、子どもには理解してもらえるが大人にはなかなか入らないので、学校が大切となる」と力説。「元々あった防災・減災文化は社会の仕組みが変わって、どんどん壊されてきた。防災教育は元々あったものをもう一回取り戻そうというもの。子どもたちの生きる力・自ら考えて行動する力を育むことが大切で、避難訓練も身を守るためのオプションを考えさせる。学校は津波が来たら逃げろと教え、土地の仕組みを社会で教え、理科では水の流れる仕組みを教える。ほかの教科や生活で教えることで文化に変わる。そして少なくとも学校から家庭につなげ、地域との価値も共有してほしい」などと呼びかけた。 

 その後も防災減災文化づくりには継続が力になると示し「継続するためにはわかりやすい目標を立て、生活に防災視点を入れること。改訂版防災ノートもぜひ活用してほしい」などとし、活発な意見交換も行われていた。

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