瑞宝単光章 消防功労 「妻や仲間の支えのおかげ」 元紀宝町消防団長 向井治さん

 令和4年春の叙勲受章者が29日に発表され、三重県在住者では旭日章15人、瑞宝章35人の計50人が受章した。本紙関係では、紀宝町井田の元同町消防団長・向井治さん(74)が瑞宝単光章(消防功労)を受章した。

 昭和54年5月に紀宝町消防団に入団し、同23年4月に団員仲間からの推薦で町消防団長を拝命。入団から退団する平成31年3月までの約39年間、団幹部として消防行政に参画し、施設の充実や団員の待遇に意を尽くした。周囲からの信頼厚く、退団後も豊富な知識や技術を後輩に指導するなど、郷土愛護の精神に徹し、品行方正にして極めて実直で円満な人柄。また、団員全員の火災共済制度加入や消防互助年金への加入促進、災害出動時に安心して活動できるよう福祉共済制度の活用を勧めるなど、福利厚生面でも多大に貢献した。受章の知らせを受け、「妻が後押ししてくれたのが一番。そしてたくさんの仲間の支えのおかげ」と感謝を示した。

 「困った人は助けなあかん」という考えがあり、近隣住民からの誘いもあって消防団員に入った。一番印象に残っているのは、団長就任後すぐに発生した紀伊半島大水害。被害が大きくなる日の前々日から地域をまわって避難誘導にあたっており、3日夜に安全確認のため大里地区にいたが、水位が上がり孤立してしまった。消防車両で夜を明かし、水位が少し引いた4日の夕方、御浜町阿田和山地方面から紀宝町に戻ったという。その後も団長として陣頭指揮にあたり、地域住民の生命と財産を守る活動を行った。

 後輩の団員たちへ「仲間と協力して、自分たちが今やるべきことは何かを判断して行動できるようになってほしい」と期待。「団員の数も減少している。近隣同士で声を掛け合って仲間を増やしていってほしい。特に女性団員が増えてほしい」と話した。

 昨年は東京五輪の聖火ランナーとして熊野市内を走った。「走ったのは200㍍ぐらいやったかな。緊張したけどあっという間の時間。ええ経験さしてもろた」と笑顔で語った。

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