日常や経済回復最優先 熊野市議会 河上市長が施政方針

 新年度予算などを審議する熊野市の定例市議会が18日に開会した。河上敢二市長は施政方針演説で「令和4年度の市政においては、ウィズコロナを前提に『日常の生活』を取り戻し、コロナ禍によって大きく疲弊した『経済の回復・再活性化』を最優先」とし、DX(デジタルトランスフォーメーション)やSDGs(持続可能な開発目標)を政策横断的目標に掲げた。「働く場の創出を目的とする産業の振興」「福祉・健康づくり・子育て支援」「万全な防災対策」の3点を引き続き大きな柱に、教育・文化、生活環境など課題対応への決意を改めて語った。

 河上市長はまちづくりの基本方針として「総合計画の基本理念である『市民が主役、地域が主体のまちづくり』のもと『豊かな自然と歴史の中で人がかがやく、活力と潤いのあるまち・熊野」』の実現に引き続き市の総力をあげて取り組みます」と述べ、市を取り巻く状況やまちづくりの課題を挙げた。総人口1万6070人(2月1日現在)、高齢化率約44%の〝超・超高齢社会〟、新型コロナウイルスの影響への対応、働く場の創出、福祉健康づくり推進、地震台風などから安全安心の確保を重要課題とした。

 今年を本格的なDXに向けてスタートの年「DX元年」と位置づけ、5年後・10年後の市のあるべき姿を模索しながら「熊野市DX推進計画」を策定。市役所だけでなく広く民間も含めた市全体でのDXを推進する。についても、理念に則し環境保全や地域資源の活用を推進する。

 雇用創出を目的とした産業振興は「輸出」と「集客」を基本に、リスクを恐れず大胆に取り組む。農業では「熊野アグリパーク」の基本構想を策定するとともに、整備した先進技術を導入した農業生産施設での栽培に着手する。林業は長期的な視点で森林整備、水産業は新規魚種の試験養殖などの取り組みを続ける。雇用創出のほか、労働需給の実情を踏まえた就労促進等を図る。

 特産品の付加価値向上では、市内事業者への専門家派遣など「6次産業化」を強力に推し進める。観光面は修学旅行誘致や団体・個人旅行それぞれの入込客回復を図る。全国大会なども積極的に呼び込み、スポーツ集客の一層の推進により、市内の集客再興につなげる。

 福祉面では「安心していつまでも健康に暮らせる福祉社会」実現のため、見守りや認知症予防、気軽に集える機会増加に努め、若い世代からの「予防」に重点を置いた健康づくりを推進。出産・子育ては「熊野市こどもは宝・未来への希望基金事業」により、全国トップクラスの子育て支援を継続する。

 防災は「全市民が生き抜く」ための防災対策のため、自助・互助・公助の取り組みを基本にハード・ソフト双方の総合的な対策を行う。

 各種取り組みの方針を説明し、河上市長は「市内最大組織の市役所の全職員がコロナがもたらした影響への対応を始めとする社会経済情勢の変化に対して、より厳しい危機感を持ち、リスクを恐れず大胆かつ積極的に推進する強い決意です。市民の皆さんに『熊野で暮らして本当に良かった』と心から実感していただける『活力と潤いのあるまち・熊野』の実現に引き続き全力で取り組んでまいります」と結んだ。

 この後、総額176億8105万3千円(一般会計135億9890万8千円)の新年度予算案や、個人情報保護条例、市職員の育児休業等に関する条例、市障害者自立支援施設条例、国民健康保険税条例、消防団条例、消防団員等公務災害補償条例の各一部改正案、花の窟活性化施設の指定管理者指定、障害者自立支援施設の指定管理者指定、市道認定、市指定金融機関の指定、特別会計予算案、水道事業会計予算案の計18議案が上程された。

 今定例会の会期は3月14日までの15日間。一般質問は3月2日から3日間を予定している。

 また、今定例会では議員定数削減の議員提出議案が追加議案として出される見通し。

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