御浜町初の百条委員設置 御浜町臨時議会市木消防車庫問題で可決

 御浜町議会は29日、令和8年第3回臨時会を開き、市木消防団車庫建て替え中止問題を巡る地方自治法第100条に基づく調査特別委員会(百条委員会)の設置を5対4の賛成多数で可決した。百条委員会の設置は町議会で初めて。今後、証人の喚問や資料提出要求など強い調査権限を行使し、計画中止に至る経緯や行政対応を検証する。委員には山本章彦(委員長)安田圭太郎(副同)、松本有希、磯﨑薫子、宇城公子議員が選任された。

 発端となったのは、市木消防団車庫建て替え計画が隣接地の所有権問題を巡って中止となり、設計費など約1500万円が支出された問題。町議会地域活性化調査研究特別委員会では、町が「隣接地所有者に丁寧な説明を続けてきた」と説明する一方、その経緯を裏付ける資料が十分示されていないとして、「原因究明と責任の所在を明らかにするには百条委員会が必要」との意見が相次いでいた。

 今月15日の特別委員会終了後、磯﨑、松本、安田議員が臨時会招集を請求。地方自治法に基づき臨時会が招集され、3議員が「市木消防車庫建設に係る公金損失等調査特別委員会設置決議案」を提出した。

 討論では賛否双方が百条委員会の必要性を巡って激しく論戦を展開した。反対討論に立った野地本隆議員は、「百条委員会は議会の極めて強い調査権を行使する制度で、通常の議会活動では解明できない事実を明らかにするためのもの」とした上で、「一般質問や全員協議会、委員会を通じて執行部への説明要求は行ってきた。根本には町と土地所有者との主張の相違があり、その判断は裁判所が担うべきもの」と指摘。「現時点で新たに何が解明されるのかが明確ではない。議会も執行部も多大な時間と労力を費やし、通常業務や防災事業が後回しになる事態は避けるべきだ」と慎重な対応を求めた。

 池上勝生議員も反対討論で、「長期間にわたり地域を巻き込んだ問題で、関係者や家族が精神的負担を感じているとの声を聞いている。土地所有者を証人として呼ぶことになれば負担は計り知れない」と述べ、「真実を明らかにする責務がある一方、地域社会への影響にも配慮しなければならず、百条委員会が最も適切な手法とは判断できない」と訴えた。

 一方、賛成討論で磯﨑薫子議員は、「百条委員会は誰かを断罪するための制度ではなく、事実を確認するための公的な制度だ」と強調。「住民への説明責任を果たすためには確認すべき事項がなお残っている。事実を確認しないまま推測で終わらせることは議会の責任ではない」と述べ、調査の必要性を訴えた。

 山本章彦議員は、「本来なら地域活性化調査研究特別委員会の中で原因解明と解決策を見いだしたかった」と振り返りつつ、「提出された資料からは、町長が『土地所有者に丁寧な説明を続けてきた』とする答弁を裏付けるものは確認できず、これ以上の真相究明には限界を感じた」と説明。「町民が納得できる形で示し、解決策を見いだすためにも百条委員会による調査は不可欠だ」と設置への理解を求めた。

 採決の結果、松本、磯﨑、安田、山本、宇城公子の5議員が賛成し、野地本、池上、南州計、端地常浩の4議員が反対して可決された。

 百条委員会では今後、地方自治法に基づく調査権限を行使しながら、関係職員らへの証人喚問や資料提出要求などを通じ、市木消防団車庫建て替え中止に至った経緯や予算執行の適正性、行政の意思決定過程などを詳しく検証することになる。

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