熊野市二木島町で、新渡戸文化中学校・高等学校(東京都中野区)の生徒と地元住民が協力し、伝統料理「こけら寿司」の復活に取り組んでいる。ゴールデンウィークに開かれる「あら!さかな熊野灘ほうばい祭り」(5月4日)での販売を目指し、仕込み作業が進められている。
同校はこれまで二木島を訪れ、漁業体験や住民との交流を重ねてきた。修学旅行を発展させた独自の学び「スタディツアー」などを通じて地域への理解を深めており、こうした取り組みは2024年度のグッドデザイン賞金賞にも選ばれている。
今回の活動は地域活性化や漁業人材の育成を目指して発足した「みえ熊野海業推進協議会」が場を提供。同協議会副会長で同校副校長の山藤旅聞さんは「長年の交流の中で、地域の魅力を次世代につなぐ取り組みを形にしたい」と話す。
復活に挑むこけら寿司は、かつて祭りや祝い事に欠かせなかった4種類の食材と1種類の魚を使い、かいしきの葉を乗せた郷土の味。しかし、担い手の高齢化により近年は作られる機会が減っていた。今回は90代の波戸きくのさんと川口竹子さんが中心となり、高校生に作り方を伝授。生徒たちは同校の戸叶綾子教諭と4月に入り毎日試作を繰り返した。
出来上がった試作品を見た波戸、川口さんは「本当は難しいと思っていましたが、すばらしい物ができていて、涙が出そうになりました。私たちも食べてみたい」と喜んだ。
生徒たちは4日の「ほうばい祭り」に向け、今月1日から現地入りし、2日朝から仕込みに取り組んでいる。祭り当日は、2升分のこけら寿司を用意。1斤400円で販売する。また、糸川屋製菓とコラボしたお菓子も取り扱い、売上は全て地域おこしグループ荒志の太鼓資金に寄付するという。
イベント当日は熊野青藍高等学校の生徒も加わり、地域と若者が一体となって催しを盛り上げる。失われつつあった味を若い世代が受け継ぐ今回の試みは、地域文化の継承に新たな光を当てる取り組みとして注目される。

