この地域の中核病院である紀南病院では、外科領域の胃がん、大腸がん等消化器関連の検診や手術、乳がん検診等にも幅広く対応。病院長として管理にあたる一方で外科の臨床医でもある加藤弘幸院長(64)は、早期発見・早期治療へ紀南病院の積極的な活用を促している。
愛知県出身で三重大学医学部を卒業し、尾鷲総合病院を経て平成11年から同16年まで紀南病院外科部長、同16年からは尾鷲総合病院外科部長として診療にあたった加藤院長。平成23年からは9年にわたって尾鷲総合病院の院長を務め、令和2年に紀南病院の院長に就任した。この地域の住民の特徴の一つとして、症状があっても我慢したり、定期的な健康診断を受けていなかったりすることを挙げ「例えばがんが見つかった時には転移が進んでいることも少なからずある。ある町では健診の受診率は高いが、がんの死亡率も高いという数字もあった。高齢の方は症状に鈍感である場合もあるが、心配な症状があれば相談し、早めの検査を受けてほしい」と語る。
消化器外科が専門で、乳がんの検診や診断に携わる。乳がんは手術も行うが、術前の評価や検査を行い、専門的な手術が必要であれば紹介も。「外科は3~4人体制で、胃がんや大腸がんの手術が主。近年では腹腔鏡の活用によりキズを少なく、身体への負担軽減も。虫垂炎や胆石、鼠経ヘルニアも大半が腹腔鏡での手術になる。令和6年度で入院延べ患者数は5338人で、外科の手術件数は152件」と、外科医として現状を紹介。一方で「病院の問題点としては人口減少で患者数が減り、将来が心配される状況になりつつあり、患者数を増やして地域に貢献したいという思いは強い」と病院長として課題も示す。
早期発見の大きな力となる健康診断は、緊急性が無ければ従来の健診センターで対応。さらに内科では別途費用は必要となるが紹介状無しでも受診できるようにし、乳がん検診は女性の放射線技師が撮影するなど、必要に応じて体制を整えた。加藤院長は「乳がん検診は異常があるかどうかの検査はその日のうちに出来る。特にがんに関しては、症状がないうちに見つけるべきで、毎年検診を受けるのが理想だが、2年に1回でも受けてもらいたい。人生100年時代。80代でうちの病院で手術を受けている人も多いので、高齢の方も積極的に検査を受け、健康につなげてもらいたい」と語った。
健診についての問い合わせなど、詳しくは同病院(05979・2・1333)まで。