危機意識持って地方創生 熊野市議会 河上市長が施政方針

 新年度予算などを審議する熊野市の定例市議会が22日に開会した。河上敢二市長は施政方針演説で人口減少に関し「出生数が2年連続で60人台が見込まれ、有効求人倍率がここ数年県平均を上回って高止まりしていることなどから『危機意識』を持って地方創生などの人口減少対策について、新たな対策を加え、よりいっそう結果を残せるよう、効果的な実行を図っていく必要がある」と述べた。

 河上市長はまちづくりの基本方針として「総合計画の基本理念である『市民が主役、地域が主体のまちづくり』のもと『豊かな自然と歴史の中で人がかがやく、活力と潤いのあるまち・熊野』の実現に引き続き市の総力をあげて取り組みます」と述べた。令和5年の市政は、人口減少などに対応するため「地方創生」の取り組みを基本に「働く場の創出を目的とする産業の振興」「福祉・健康づくり・子育て支援」「万全な防災対策」を引き続き大きな柱とし「DXの推進」「SDGsの推進」を政策横断的目標と位置づけ、教育・文化・生活環境等まちづくりの多くの課題に対応。ウィズコロナを前提に平常状態の生活と経済を取り戻し、さらなる活性化を行う必要があるとした。

 雇用創出を目的とした産業振興は「輸出」と「集客」を基本に、リスクを恐れず大胆に取り組む。農業では「熊野アグリパーク」の基本構想をもとに、より具体的な基本計画の策定、測量、基本設計を進める。林業は長期的な視点での森林整備、水産業は新規海藻類の試験繁殖などに取り組む。短時間勤務や在宅テレワークなどを通じた潜在的労働力の掘り起こしも図る。

 特産品の付加価値向上では、市内事業者への専門家派遣など「6次産業化」を強力に推し進める。観光面は体験型観光コンテンツ提供などによる滞在時間延長を図ると共に、全国大会なども積極的に呼び込み、スポーツ集客の一層の推進により、市内の集客再興につなげる。

 大学、高専、専門学校等への進学支援拡充のため、市奨学金の貸与金額拡大・返還期間の延長と共に、新たに返還支援を行い、若者のUターンや市内事業所の人材確保につなげる。

 福祉面では「安心していつまでも健康に暮らせる福祉社会」実現のため、見守りや認知症予防、気軽に集える機会増加に努め、若い世代からの「予防」に重点を置いた健康づくりを推進。出産・子育ては「熊野市こどもは宝・未来への希望基金事業」により、全国トップクラスの子育て支援を拡充する。

 防災は「全市民が生き抜く」ための防災対策のため、自助・互助・公助の取り組みを基本にハード・ソフト双方の総合的な対策を行う。

 各種取り組みの方針を説明し、河上市長は「令和5年度はまちづくりの根幹となる第2次市総合計画後期基本計画のスタートの年。市の将来を見据え、各施策の深化・発展にこれまで以上に綿密な計画遂行と変化に応じた柔軟な対応が求められます。人口減少に対する危機意識を持ち『地方創生への挑戦』に向けて真正面から立ち向かい、何としても市の活力再生を実現していなければなりません。市内で最も大きな組織である市役所全職員が市のおかれている大変厳しい状況・課題を十分認識し、リスクを恐れず大胆かつ積極的に推進する強い決意です。市民の皆さんに『熊野で暮らして本当に良かった』と心から実感していただける『活力と潤いのあるまち・熊野』の実現に引き続き全力で取り組みます」と結んだ。

 この後、総額170億2905万3千円(前年度比3・7%減)の令和5年度当初予算案(一般会計当初予算案は前年度比3・4%減の131億4198万2千円)や特別会計予算案、市奨学金返還支援基金条例案、市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例の一部改正案、市青年の家条例を廃止する条例案、市施設の指定管理者指定など計21議案が上程された。また、川口朋、大橋秀行議員を提出者、松田唯、和田泰史市議を賛成者に議員提出議案「熊野市議会の個人情報の保護に関する条例案」が出された。

 今定例会の会期は3月20日までの27日間。一般質問は3月8~10日を予定している。

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