一般社団法人日本クマノザクラの会(勝木俊雄会長)は22日、御浜町の寺谷公園で春の観察会、紀宝町福祉センターで講演会を開いた。いずれもクマノザクラを発見・発表した勝木会長が講師を務め、参加者がクマノザクラの特徴や保全の重要性について理解を深めた。
クマノザクラは三重、和歌山、奈良の3県にまたがる紀伊半島南部に自生する固有種で、2016年に国内では約100年ぶりとなる野生の桜の新種として確認された。近年は観賞用としての植樹も各地で進められている。同会はクマノザクラの保全と利活用を目的に2021年に発足。企画展や観察会、講習会の開催のほか、クマノザクラの同定サービスなどに取り組んでいる。来年度は現地観察会の継続に加え、樹名板の製作・設置、会報の発行などを計画しているという。
22日は午前中に寺谷公園で観察会があり、地域内外から約30人が参加。同公園には御浜町と岡田文化財団が連携し約500本のクマノザクラを植樹しており、この日は来場者を歓迎するかのように一部の花が開いた。勝木会長はオオシマザクラやエドザクラ、ソメイヨシノ、ヤマザクラとクマノザクラの切り枝を比較しながら、葉の形や色、実の付き方など見分け方のポイントを伝えた。参加者は興味津々で次々と質問していた。
午後からは紀宝町福祉センターで総会と講演会があった。講演会では勝木会長が「温暖化によるサクラの異常」をテーマに、気候変動が桜に与える影響について解説。「100年前と比べて気温は確実に上昇しており、将来的に紀伊半島は南西諸島や沖縄のような亜熱帯気候になる可能性がある」と指摘した。
今後、病害虫などの増加も予想されており、勝木会長は日本を代表するソメイヨシノについて「クローンで増やされた品種のため環境変化に弱く、開花の遅れなどの影響が出る。紀伊半島でも気候変動で気温が上昇し、ソメイヨシノが咲かなくなる」と説明。一方、クマノザクラは温暖化した環境への適応力が期待されているという。
講演会の開会にあたっては紀宝町の向井美樹也町長と新宮市の上田勝之市長があいさつし、地域資源としてのクマノザクラの保全と普及に期待を寄せた。

