アグリパーク事業は不透明 行政の姿勢を見直す 熊野市長選松田唯氏が出馬会見

 今年10月の熊野市長選挙へ向け22日、現職の市議会議員で副議長を務める松田唯氏(50)が正式に出馬を表明。記者会見を行い、出馬への経緯などを明らかにした。

 松田氏は1975年1月生まれ。木本高校を卒業後、大阪市の専門学校に進学。建築設計事務所などの勤務を経て、2018年、市議選に挑戦し初当選した。現在2期目で昨年から副議長を務めている。

 出馬については6月に開催された熊野アグリパーク整備事業についての住民説明会に赴き「運営主体も決まらずに計画が進められ、実施設計が始まるという極めて不透明な状況にある。この計画の推進の仕方こそ、現在の熊野市の行政の縮図となっているのではないか。今こそ行政の姿勢を根本から見直すべき」と出馬を決めた。

 出馬にあたっては▽熊野アグリパーク整備事業の大幅見直し▽産業振興と観光基盤の強化▽暮らしの安心の実現(子育て・教育・福祉・防災)―を掲げた。選挙の争点にしていきたいというアグリ事業は「一般質問もさせて頂いたが、運営体制や収益分岐点、運営者が決まっていない状態で設計が進むというのはあり得ない。平日の集客が見込めない分の収益は通販で考えているとのことだが、通販で収益を上げられるのであれば箱モノを作る必要はない。矛盾点がかなり多く、この施設は不透明」と不信感をあらわに。「企業を公募し、公民連携、投資と回収まで考えてGOをかけるという、企業として当たり前のことをやりたい。ただ、公益事業は投資して良いこともあると思うので、まったくの反対・中止ということはなく、やり方による」とした。

 また、産業振興と観光基盤の強化では、自然体験型観光「外遊び」を活かしたアウトドア関連企業の誘致を推進。観光客のおもてなしへトイレ環境の整備に力を入れ、第一次産業の振興も図る。「経理の不透明さがある観光公社とふるさと振興公社の公益事業と収益事業の仕分けも行い、収益部門は民営化に」と構想を示した。

 さらに暮らしの面では子育て支援をさらに拡充し、全国トップを目指す。給付型奨学金制度の拡大やICT教育の推進、都会との教育格差是正に取り組む。また、高齢者福祉や医療、交通の利便性向上、防災対策の強化も進め、デジタル化社会に対応して市民の利便性を向上させ、人口減少下でも安心して暮らせるまちを目指す。

 次期市議選について今は一切頭にないという松田氏は「私の一番の思いは常に『市民と共にある』ということ。どんな立派な計画でも、市民の声が届いてなければ、やる意味がない。これからの熊野市を、誰か1人で決めるのではなく、みんなで考えてアイデアを出し合って作っていく。そういう熊野市にしたい」と力を込めた。

  • URLをコピーしました!