世界的建築家・隈研吾氏が設計 東紀州初の児童養護施設 熊野市出身葉田会長(エレコム)が私財5億投じ建設

 熊野市木本町出身の葉田順治氏が取締役会長のエレコム株式会社(本社・大阪市)は7日、熊野市金山町で児童養護施設「東紀州こどもの園」を建設するプロジェクトを発表した。東紀州地域では初の児童養護施設。建設費を含む総事業費約6億5千万円の内、約5億円は葉田会長が私財を投じる。建物は新国立競技場などを設計した世界的建築家・隈研吾氏が手掛ける。すでに7月4日から着工しており、来春完成予定という。7日、三重県庁で葉田会長、隈氏、河上敢二熊野市長、三重県で児童養護施設などの運営に携わる社会福祉法人聖マッテヤ会の池田修一理事長が服部浩副知事にプロジェクトの概要を報告した。

 同プロジェクトは、葉田会長個人の着想により始まった。葉田会長は十年近く前から、個人や公益財団法人葉田財団として、児童養護施設などへの寄付をはじめとする子どもたちへの支援活動を行っている。

 支援活動の中で、子どもたちが児童養護施設での生活を通して自信を回復し、今後の生活に向き合っていけるよう、子どもたちが卒園したことに誇りを持てるような施設を、自身の故郷である三重県熊野市へ寄付することを決意した。

 エレコムでは創業時から「社会との共生」を経営の根底に据えており、同プロジェクトに共鳴し、社会や地域への貢献活動の一環として一部を寄付。当初は葉田会長個人で始まったプロジェクトだったが、地元の紀州材をふんだんに使用する同プロジェクトの趣旨と合わせて隈氏に設計を依頼し、快諾を得た。

 「東紀州こどもの園」は敷地面積約2千平方㍍、施設面積約800平方㍍。児童家庭支援センター1棟と児童養護施設2棟。支援相談員4人体制。定員は0~18歳の4人が居住でき、一時保護などのシェルターも含めると約10人に対応できる。建物は平屋でスギやヒノキなどの紀州材を使用。中心には地域交流のスペースを設ける。総事業費約6億5千万円の内、5億円は葉田会長が資産を寄贈し、エレコムが2500万円、県と国の補助金計1億1500万円。

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