熊野市紀和町の「紀和の火祭り実行委員会」(西健作委員長)は6日、同町の熊野川周辺で元紀和町長の故・下川勝三さんを追悼する太鼓演奏と花火打ち上げを行った。河原に響く鼓の音と夜空に開く大輪の花に、訪れた人たちは在りし日の下川さんを思い出し、目に涙を浮かべていた。
下川さんは6月27日に急逝した。下川さんは紀和瀞流太鼓の初代会長も務めるなど、若い頃から地域のリーダー、兄貴分として慕われた。
下川さんらが仲間とともに汗を流してきた「紀和の火祭り」は、新型コロナウイルスの影響で3年連続中止となった。そこで実行委員会や紀和瀞流太鼓では下川さんにこれまでの感謝の気持ちを届け、冥福を祈ろうと、火祭り開催予定日だった6日にサプライズで演奏や花火打ち上げを計画した。
午後7時30分、瀞流荘近くの河原で紀和瀞流太鼓が演奏を披露した。現メンバーの多くは、子どもの頃に下川さんらから太鼓を教わった。「〝下川のおじちゃん〟に哀悼の誠を」と、一打一打に気持ちを込めバチを振るった。
演奏が終わると、対岸から和田煙火店による打ち上げ花火が上がった。毎回、紀和の火祭りでもフィナーレを飾っている、鮮やかな光が河原を彩り水面に花火が反射する光景に、訪れた人たちは「もう一度、下川さんとこの光景を見たかった」としみじみ。
紀和瀞流太鼓の代表でもある西実行委員長は「初代会長の下川さんの想いを引き継ぎ、これからも頑張って太鼓を叩いていきたい」。紀和の火祭り実行委員会の岡本尚さんは「本当に僕たちにとってはビッグボスという感じ。大きな刺激を与えてくれて、引っ張ってくれた。下川さんには感謝しかありません」と話していた。