どんどん挑戦し成長を 木本高校冒険家の佐々木さんがエール

 三重県立木本高校で22日、2年生を対象に冒険家、佐々木規雄さんの講演会が行われた。佐々木さんはリヤカーを引いて北米の最北端から南米最南端まで約2万㌔を踏破した体験などから、挑戦によって人は成長することを伝え「小さな目標から徐々に達成して、それが出来たら更に上を目指せる。どんどん挑戦して」と生徒たちにエールを送った。

 総合的な探求の時間の一環。講師の佐々木さんは元海上自衛隊員で、ライフセーバーや冒険家として活動している。昨年7月、熊野市新鹿町に移住し、SUPや登山など自然体験を行う「熊野冒険学校」を開設した。この日は「目標をもって挑戦することの大切さ」をテーマに講演した

 佐々木さんは動画を使い、自身が冒険した絶景などを紹介した。マイナス40度の北極、逆に57度のアメリカデスバレーの砂漠、南米パタゴニアの氷河、サハラ砂漠、ウユニ塩湖などのエピソードを話した。

 時にはテントの前にクマの気配。強盗や先住民に囲まれることもあった。「いつ何があるかわからない。楽しさよりも苦しい時間が99%。残り1%は絶景や人との出会い。過酷で厳しいことに挑むからこそ、人生をかけて本気になれる」と語った。

 旅の中ではいかに水を確保するかに頭を使った。佐々木さんは常にどの様な危険があるかを想定し、対応できるようトレーニングしてきた。これは熊野に移住した今も変わらない。「あえてしんどいことを選んで、逃げないようにしてきた。舗装された道より、峠道を選んだ。それで自分の成長が感じられる。挑戦しなければ、そこで成長が止まる」と生徒たちに語った佐々木さん。一方で「無謀と挑戦は違う」と、目標に向かってしっかり準備することの大切さも示した。

 また、佐々木さんは移住のきっかけの一つとなった新鹿の海の素晴らしさを説明。東日本大震災の被災地でのレスキューやライフセーバーとしての活動も振り返り、生徒たちに「困っている人に手を差し伸べられる人が一人でも増えていけば、助かる命も増える」と、機会があれば心肺蘇生法など救命技術を積極的に学ぶよう呼びかけた。

 講演後は総合学科2年生と佐々木さん、熊野市の地域おこしグループ「Mix熊野」(野地真美代表)による意見交換も行われた。

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