三重県熊野農林事務所は13日、熊野市井戸町の県熊野庁舎でツキノワグマ緊急銃猟等机上訓練を行なった。同事務所や管内の市町、警察、三重県猟友会紀南支部の関係者ら22人が出席。自治体の判断でクマなどの駆除ができる「緊急銃猟」の円滑実施に向け連携を強めた。
訓練は迅速かつ円滑に緊急銃猟ができるよう、関係機関の役割などを構築し、対応の確認と検討を行う目的で実施。はじめに同農林事務所の三浪正人所長が「近年、各地でクマの出没が増えている。県内では11日時点で69件。過去最多の昨年に比べると件数は少なくなっているが、4割が熊野管内。30日までクマアラート(注意報)を発表し注意を呼びかけているところ。緊急銃猟の的確な実施には関係者間の協力体制など平時からの準備が重要。訓練が人身被害防止に向け有意義なものとなることを期待します」と挨拶した。
続いて県内の目撃・出没状況やクマの生態・行動の基礎知識、緊急銃猟制度のガイドラインなどを確認した。緊急銃猟制度は日常生活圏にクマなどが出没した場合、▽人の日常生活圏(住居、倉庫、広場等)への侵入▽人への危害を防止する措置が緊急に必要▽銃猟以外の方法では的確かつ迅速に捕獲が困難▽銃猟によって人の生命・身体に危害が及ぶおそれがない―の4条件を満たせば市町村長の判断で銃による駆除が可能になる。鳥獣保護管理法の改正により今年9月から施行されている。
この後、農地にクマが出没し、水路で身動きが取れなくなっている状況を想定した机上訓練へと移った。住民らからクマ出没の通報を受け、市町が4条件を満たしているかを確認。住民への注意喚起を行うとともに市町に緊急銃猟対策本部を設け、捕獲者の選定から通行規制、避難誘導、地権者等調査、広報といった通報から現場対応、連絡体制などの手順をシミュレーションした。
出席者からは熊野古道にクマが出没した際の対応を、県が作成中の問題個体駆除に向けた管理計画に加えるよう求める声も出ていた。

