2度と悲しい事故起こさない 熊野灘水難事故防止協議会官民一体となり意見交換

 熊野灘水難事故防止協議会(中平敦代表)の第1回会議が19日、御浜町役場くろしおホールで開かれた。行政や観光協会など民間団体が七里御浜海岸での悲しい事故を防ごうと、意見を交わした。

 同協議会は今年7月に熊野市の七里御浜海岸で女子高校生が波にさらわれ命を落とす痛ましい水難事故を受け、子どもが巻き込まれる事故を二度と繰り返さないよう、大人が力を出し合おうと中平代表ら民間からの呼びかけで発足。第1回会議には環境省、三重県、和歌山県、熊野市、御浜町、紀宝町、新宮市、熊野市消防本部、新宮市同、熊野商工会議所、熊野市観光協会、新宮市同の関係者ら33人が出席した。

 中平代表は紀伊半島大水害で愛する家族を失った経験から、亡くなった高校生の家族や友人の悲しみに思いを馳せ「七里御浜の水難で子どもが亡くなるのは初めてではない。今日は色々な立場の方がいらしている。アイデアを出し合い、どうすれば未然に水難事故を防げるのか、官民一体となってできれば」と挨拶。谷川孝栄、東豊両県議からのメッセージが代読された。

 質疑応答によると、消防本部では水難の通報を受けると警察や海上保安部にも連絡し、日本水難救済会の船舶と連携して救助漁船を出動させる体制を構築している。中平代表は「民間の漁船に頼らなければならない状況で人命が助けられるのか」と疑問を呈し、行政に救助船を導入など、水難救助への予算措置を訴えた。

 同協議会からは七里御浜海岸で水難が発生する要因として、戻り流れや離岸流、平時でも数百回に1回程度〝一発高波〟が来ると言った特徴が示された。高波など悪条件下では救助が困難になることから、より注意喚起に注力しなければならないとし、人が多く集まりやすい海岸付近4箇所に啓発看板や、県と市町、消防が情報共有できる定点カメラと注意を呼びかけるスピーカー設置の提案があった。

 啓発看板については同協議会ですでに製作を始めており、海岸管理者の三重県に設置許可を申請している。また、県でも海岸につながる階段に掲示する注意喚起プレート100枚を作成するという。

 中平代表は「民間も一緒になって注意をするなど、協力し合って水難の啓発を行っていかなければならない」と呼びかけていた。次回は海上保安庁も参加して10月中に第2回会議を行う予定で、12月までに方向性を決めたい考え。

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