通帳の偽造や改ざんも 3年で約6500万円着服 熊野商工会議所30だいだんせいしょくいんを懲戒解雇

 熊野商工会議所の30代男性職員が令和3年5月~令和6年4月にかけ、約6500万円を着服していたことが発覚。4月30日、熊野市役所市政記者室で同商議所の榎本義秀会頭と尾中弘明専務理事、齋藤公己事務局長、片山眞洋弁護士が記者会見を行い、事実関係を明らかにした。職員は4月22日付で懲戒解雇処分にした。

 説明によると元職員は一般会計、財政調整資金会計、退職給与積立金会計、会館修繕積立金会計、会館食堂特別会計から、3年間で計110回にわたり数万円から1000万円を着服。総額は6470万5297円に上った。同会議所の聞き取りによるとギャンブルや女性関係、その他遊興費に使用したと話しているが、詳しい使途については口を閉ざすという。

 今年4月に齋藤事務局長が資料作成の関係で通帳の提出を求めたところ言動に不審な点があり、通帳の中身を精査すると印字の不明瞭や日付の相違などを確認。すぐに金融機関を訪問して相談すると、通帳の偽造・改ざんの疑いが高いとの説明を受けた。会議所に戻って元職員に着服の有無を確認すると事実を認めたため、尾中専務理事と聞き取りを行ったほか、関係する金融機関で順次調査し、詳細がほぼ判明した。

 元職員は令和元年に採用され、経理等を担当していた。同会議所では預金引き出しに必要な公印は、金庫内の鍵付きの棚に保管。その鍵は専務理事と事務局長のみ保管しているため、引き出す場合には決裁を受け、押印をもらう必要がある。しかし、繁忙時には決裁後に専務理事らの目の前で押印させる場合もあったという。元職員はその際に多数の白紙の預金引き出し用紙に公印を合わせて押印し、後に金額等を記入すれば引き出しできるよう準備。また、金融機関から預金を出金し、他の金融機関に預入する虚偽の決裁文書を作成したうえ、実際には入金せずに着服していた。引き出す際は備品の購入や財政調整資金への積み立てなどを理由にしていたが、実際には積み立てなどは行われておらず、会計監査等での発覚を逃れるため通帳の偽造・改ざんを行っていた。

 元職員は聞き取りに対し、通帳を作り替えるようなソフトがあると話しており、実際の通帳から文字を拾って印字することも可能であるという。その通帳は精巧に偽造されており、ひと目には見抜けないものだったようだ。同会議所では毎年5月に前年度分の監査を行っているが、特段不審な点はなかった。元職員は返済の意思を示しており、弁護士が返済方法等について協議している。

 榎本会頭は「このような事案が発生したことに対し、市民の皆様、会員の皆様、関係者の皆様に大変なご迷惑とご不快な思いをさせましたこと、深くお詫び申し上げます」と頭を下げ、尾中専務理事、齋藤事務局長は「公金の扱いは徹底していたが、巧妙に目を盗んで着服していた。残高証明を取っていなかったのは落ち度だが、通帳を偽造されるなんてありえないという気持ちがあったのは事実です。今後、刑事告訴を予定しており、役員や常議員にもこれからきっちり説明したい。再発防止策も徹底していく」と話した。

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