音と光の大競演に感動 熊野大花火5万人の観衆魅了

 豪快無比、迫力日本一の呼び声高い熊野市の熊野大花火大会が29日、木本の七里御浜海岸や鬼ヶ城、熊野灘を舞台に開かれた。三百有余年の伝統にふさわしい音と光の大競演が4年ぶりに繰り広げられ、5万人(主催者発表)の大観衆を魅了した。

 17日に予定されていたが、台風7号や高波の影響で22、29日と延期になり、三度目の正直となった。この日も午前5時に実行委員会(中平孝之会長)が集まり会議。少し波があったが開催を決断した。

 午前6時に開催を告げる号砲が打ち上がると、マイカーや列車などで花火客が熊野入り。新型コロナウイルスの影響で4年ぶりの開催とあって、再延期にも係わらず多くの人出となった。

 午後6時40分から海岸で初精霊供養が営まれ、地元住職や遺族らが冥福を祈願した。大会長・河上敢二市長の歓迎挨拶に続きオープニングの「熊野大花火大会復活記念―復活の打ち上げ花火―」が鬼ヶ城と台船から上がった。序盤から鬼ヶ城大仕掛けのような迫力に客席から大歓声。初盆施主一同による追善の花園が海岸を明るく照らした。

 引き続き、花火業者が技術の粋を凝らした追善仕掛けなどが海上の台船、鬼ヶ城から次々と打ち上がり、轟音と大輪の花が観衆を圧倒した。熊野花火愛好会は「よみがえり熊野」と題したワイドスターマインで魅了。家族や友人への感謝やプロポーズを伝えるメッセージ花火にも感動が広がった。

 呼び物の三尺玉海上自爆は今回、単独のプログラムで実施。直径約600㍍にも開き、体の芯まで響くような衝撃に、会場からどよめきと感動の声が沸き起こった。

 フィナーレの鬼ヶ城大仕掛けでは、地元・和田煙火店による色鮮やかな花火が豪華絢爛に熊野灘や七里御浜を照らした。最後は来場者が携帯電話など光るものを振り、花火師たちに「ありがとう」のメッセージ。余韻の残る中、大会を終えた。

 木本町民の一人は「4年間、待ちに待っていました。これがないと夏が終わった気がしない。やっぱり大花火は最高」と感無量。愛知県から訪れた家族連れは「浜に座ってすぐ眼の前で花火が広がり、なにより振動がすごい。まさに日本一の迫力。来られて良かった」と喜んでいた。

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