津波の恐怖、風化させじ 荒坂地区まち協 荒坂中で防災パネル展

 熊野市二木島町の荒坂地区地域まちづくり協議会(下地通有会長)はこのほど、同町出身の鈴木美文さんがかつて出版した、同町での津波災害体験をまとめた読本「津波が来る、子どもを逃がせ!」などをもとにした防災対策資料パネルを制作。13日、休校中の荒坂中学校1階へ展示し、今後は毎月第2日曜日の午前10時から午後3時まで公開するという。

 同町では昭和19年12月7日の東南海地震発生時に津波が襲来。当時6歳だった鈴木さんによると荒坂小学校の校舎が流されるなど町内は津波の恐怖に包まれたが、津波の襲来を前に森本福太郎さんが「津波が来る! 早く逃げろ!」と促したことで、300人の児童の命が助かったという。同地区内では森本福太郎さんの功績を称え、平成21年に顕彰碑を建立している。

 二木島区の中村凱夫区長によると、同協議会の事業を検討する中で平成21年度に荒坂小学校が森本福太郎さんの顕彰板を制作していたことを思い出し、鈴木さんとのやり取りによって荒坂中でその顕彰板を発見。パネル展は森本福太郎さんについて改めて振り返ってもらうことで、防災意識を高めてもらおうと企画したもの。開催にあたっては鈴木さんが改めて森本福太郎さんの功績や平成21年度に行った顕彰碑除幕までの経緯、記憶や写真などをもとにした当時の津波被害、避難路を綴り、書道家の川端節子さんが120㌢×70㌢のパネル6枚に書き写した。

 校舎1階にはそのパネルと顕彰板、かつて荒坂小児童が作成した荒坂絵図と、避難路などをまとめた二木島地区のジオラマなどを展示。身近な地域を襲った津波についての生々しい描写などがあり、防災や事前の備えについて考えさせられる内容となっている。

 展示作業を終えた下地会長は「前回の東南海地震から約80年経過し、当時の様子を伝えられる人も少なくなってきた中で、こうした資料を残しておくことは大切なことと思う。鈴木さんに改めて感謝し、貴重な教訓として代々管理していければ」と挨拶。平成20年までに荒坂小校長として防災教育に取り組んだ松田健さんは「こうした機会に思い出していただくことが大切。年に1回でも語り継ぎ、心の準備につなげてもらえれば」とし、鈴木さんは「寄付など多くのご協力を頂いて立派なものが完成しました。地区外の方にもぜひご覧いただき、少しでも防災意識の高揚につなげてもらいたい」と話した。

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