風雨なんのと町内練る 若衆ら勇壮に浜担ぎ 木本神社 3年ぶりに渡御の感激

 熊野市木本町、木本神社(田中安弘宮司、本山拓哉総代長)の例大祭が9日に執り行われた。新型コロナウイルス感染症の影響により、ここ2年は神事のみだったが、今年は3年ぶりに御神体が鎮座する神輿が渡御。白装束の若者らに牽引、担がれた神輿が降りしきる雨もなんのそのと、町内を練り歩いた。

 午前9時から神事が執り行われ、本山総代長や総代、各町の祭典委員長、河上敢二市長、谷川孝栄、藤根正典両県議ら来賓が参列した。田中宮司が祝詞を奏上し、木本小学校5年生の戸嶋浬都、岸畑結衣、嶋くれは、村田いちかさんが浦安の舞を奉納。「七力」の山本涼介、小沼佑斗、田中慧毅、村上晴哉、橋目涼太郎、田中清人、妻有汰紋君が雅楽演奏した。

 神事の間、神輿の先導役のダンジリ(新出町)、続いてヨイヤ(栄町)、元宮太鼓の各役町のダシが笛や太鼓、祝い唄など賑やかに神社へ集結。ダンジリの獅子舞が神輿に鈴を捧げるなど、渡御の準備が進められた。なお、今年の例大祭はコロナ感染拡大防止のため、子どもたちが中心となる六方行列(親地町)や子供みこし(井筒町)、元宮太鼓(新田)の子ども太鼓は参加を見合わせた。

 神輿は午前10時30分すぎに、田中義康神輿奉仕委員長や山本裕也、森岡圭両副同をはじめ海水で身を清めた白装束の若衆約70人の奉仕委員の手で神社を出発した。大修復され輝きを増した神輿や、同じく修復されたダンジリ、ヨイヤのお披露目ともなった。

 昼過ぎからは強い雨となったが、渡御は順調に進行。昼前には鈴木英敬衆議院議員も訪れ、迫力の木本祭りを体感した。神輿は午後1時過ぎにお旅所の新出町稲荷神社に到着し、休憩を挟み、同神社前の七里御浜海岸で勇壮な浜担ぎを敢行し、神輿を波で清めた。

 帰路の三十三銀行熊野支店前の交差点付近では、各町の関係者が神輿の到着を待ち歓迎。代表者らが神輿に上り、それぞれ伊勢音頭を唄い、木本の一体感を見せた。

 神輿は午後9時頃に神社へと戻った。境内には氏神様の帰参を祝い、風雨や寒さに耐え、立派に渡御を遂行した若衆を労おうと町民らが集まった。ご神体が納められると、境内は大拍手と感動の渦に包まれた。最後は立派に大役を果たした田中委員長、それを支え続けた両副委員長らの体が胴上げで大きく宙を舞い、めでたく祭典を締めくくった。

 本山総代長は「待ちに待った渡御で、厳粛な中でも楽しい祭りができた」。田中宮司は「この天候だったが、3年間、祭りを待っていた奉仕委員たちが気合に満ちており、順延せず決行を決断しました」と話していた。

 氏神様の渡御を終始見届けた町民の一人は「この雨の中、皆さん本当によく頑張ってくれました。神事の最中、伊勢音頭が聞こえて来た時は嬉しくて涙が出ました。やっぱり祭り最高です。来年はコロナが収まり、各町が再び賑やかに一緒に祭りを楽しめることを願っています」と感極まった様子だった。

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