熊野市紀和町の各区長らは2日、熊野建設事務所に主要地方道熊野矢ノ川線の紀和町矢ノ川から丸山間の狭隘区間で大型バス周遊が可能になるバイパスルート整備を要望した。県からは今年度、バイパス整備に関する調査・予備設計を独自に予算化したことが報告された。
同路線のバイパス整備は住民らの悲願となっており、要望活動を毎年続けている。今回提出された要望書は奥豊和(丸山)、上村和志(赤木)、山口周二(長尾)、福岡淳史(平谷)、道前博英(小森)各区長と中平孝之熊野市観光協会長、丸山千枚田保存会の喜田俊生会長、赤木城とふるさとの会の福岡淳史会長の連名。
2日は各区長や地元の扇谷智美市議が谷川孝栄県議と共に熊野建設事務所を訪問。冨永大介所長に要望書を手渡した。
福岡区長らの話では、丸山千枚田や赤木城跡を訪れる観光客が増加。矢ノ川線など道幅の狭い場所では危険が生じており、道路改良が喫緊の課題となっている。
冨永所長は紀和地区と道路に関する勉強会を重ねており、現在は熊野矢ノ川線4ヵ所で待避所や駐車場を整備している。2ヵ所の待避所の工事が6月に完了し、今月末には3ヵ所目に着手する計画。
また、冨永所長はバイパス整備に関する調査・予備設計が県単独事業で予算化されたことを報告した。バイパスルートも含めた概略設計(ルート案)を今年度発注し、1年ほどかけて詳細な検討を行う。冨永所長は「トンネル案も含めて、しっかりルート検討を行っていきます。ただ、新規事業化されたわけではなく、事業着手前の調査検討ですので、設計すればすぐに工事につながるというわけではないことにご留意ください」と話した。
区長らはバイパス整備が形になってきたことを喜び、谷川県議も「進捗を嬉しく思っています。バイパスの調査が事業化につながるよう頑張りたい」と話した。この他、区長からは工事の通行止め期間への配慮や「ツール・ド・熊野」のコースとなっている道路の修繕を求める声も上がっていた。要望内容は次の通り。
主要地方道熊野矢ノ川線沿線には、日本の棚田百選「丸山千枚田」、続日本百名城「赤木城跡」など東紀州エリアの中でも全国的に名をはせる観光資源が指呼の間に存在しております。
また、熊野古道の観光ゾーン内に位置し、広域的な観光振興に寄与する優位性も、重要なポイントです。
紀伊半島アンカールート整備による広域的な交通網のネットワーク構築により、東紀州観光エリアの中でも特に知名度の高い「丸山千枚田」「赤木城跡」に大型バスでの周遊が可能となるよう、国道311号からの狭隘区間をバイパスルートでの早急な整備を切望するところです。
この路線の整備により周辺の基幹道路とリンクし、隣県との連携強化による災害等緊急時の対応、中部・関西圏からの集客による観光振興、更には「静かなる脅威」である人口減少への防波堤として関係人口の創出を促すことで、地域住民がいついつまでも安全安心に暮らせる日常を願うばかりです。
何卒、県当局が可及的速やかにバイパス整備の調査・予備設計に着手されますよう、格別のご高配を賜りたく、重ねてお願い申し上げます。