熊野市と公益財団法人B&G財団は10日、市防災公園で「防災拠点の設置および災害時相互支援体制構築」に係る協定を調印した。同財団から市に配備された防災倉庫や油圧ショベルなどのお披露目も行われた。
同財団はプールや体育館、ヨットなどを格納する艇庫といった施設を全国460ヵ所に開設。青少年健全育成や健康づくりなど様々な活動を展開している。2021年度から海洋センター所在地の自治体と「防災拠点の設置および災害時相互支援体制構築」の取り組みを開始。三重県内では志摩市に続き、紀和B&G海洋センターがある熊野市で防災拠点の整備が行われた。
熊野市には24~26年度の3年間で災害発生時の緊急対応・避難所運営に必要な防災倉庫の整備、油圧ショベル、スライドダンプ、救助艇、発電機・蓄電池などのハード面と、重機オペレーター育成のソフトの両面から、総額5900万円分が支援されている。
協定調印式には河上敢二市長と同財団の菅原悟志理事長が出席。B&G財団繋がりで大紀町の服部吉人町長も来賓として訪れた。
菅原理事長は「設立50年を迎え、自治体が抱える課題を少しでも解決していこうと海洋センター所在地に防災拠点を設置しています。災害はいつ起こるか分かりません。熊野の子どもや地域住民のため、自治体の皆さんと一緒になって頑張って活動したい」と挨拶。「とにかく自由に使ってほしい」と、配備した機材を近隣自治体との相互支援への活用することも呼びかけた。
協定書に調印し、河上市長は「先般、国の南海トラフの基本計画が見直され、これまで以上に対策が必要な状況。地震や豪雨災害は全国いつどこで起きてもおかしくない。市としても計画的に備蓄や資機材整備を行っていますが、まだまだ十分とは言えず、今回、ご支援いただいたことに御礼申し上げます」と感謝した。
引き続き、消防署員が船外機付き救助艇の組み立てを披露。船外機の設置など手際よく2分ほどで仕上げた。また、重機オペレーター育成を受けた市職員が油圧ショベルでの倒木撤去を実演した。
市防災対策推進課の小山宗宏課長によると、これまでの研修で25人の職員が重機操作を行えるようになった。女性の防災参画や、チェーンソー研修などにも取り組んでいる。ハード面では、防災公園内に約100平方㍍の防災倉庫、救助艇1台、油圧ショベル2台、ポータブル蓄電池16台、大型発電機3台が支援された。救助艇は消防に配備。発電機はすでに井戸町や紀和町の水道施設に設置し、長時間停電等に対して備えている。今後、油圧ショベルなどを搭載するスライドダンプも納車されるという。