コロナ禍の医師の奮闘 あの感動が再び NHKで20日放送 平谷医師(荒坂診療所)密着第2弾

 今年2月にNHK総合で放送された、熊野市二木島町、荒坂診療所の平谷一人医師が地域医療に尽くす姿に密着したドキュメンタリー番組「せんせい!おかげで生きとられるわ~」が帰ってくる。放送の反響が大きく、NHKが同番組の第2弾を制作。「せんせい!おかげで生きとられるわ2~熊野灘・町の診療所日記 春夏編~」として9月20日(月・祝)午前10時5分から11時まで放送される。

 番組を制作した東京都の(株)ソリッドジャム、ディレクターの毛利匡さんによると、2月の第1弾は放送後、全国の視聴者から感動の声が寄せられた。今回の番組はその第2弾。

 取材は今年3月末から8月下旬まで50日間にわたって荒坂診療所に密着。特にワクチン接種に関し、高齢者一人ひとりに寄り添い、新しいワクチンへの不安を払拭しながら接種を行う様子が詳細に記録された。

 毛利ディレクターは「高齢者には予約の手続きや問診票の理解も容易ではないと思いますが、診療所ではそのひとつひとつに親切に対応していました。お年寄りも安心して接種に臨めたのではないでしょうか」と話す。また、接種希望者の持病を把握し、往診での接種も厭わない様子に「地域に密着したかかりつけ医が、いかに大切かがよく分かりました」と語った。

 なお、今回の番組と前回放送番組をあわせた90分の完全版が、10月下旬以降に放送される予定という。スタッフらは次の通り、第2弾の内容を紹介している。

 三重県熊野市二木島町は、230人の町民の7割が65歳以上の高齢者。この町にある熊野市立荒坂診療所は、総勢4人の小さな診療所。隣接する甫母町、遊木町を含め、地域の多くの高齢者が通ってくる。

 所長の平谷一人(ひらたにかずひと)医師(73)は、診療所の2階に夫婦で住み込み、22年間にわたり地域医療に力を尽くしている。午前中は診察、午後は訪問診療と往診、週に2回は山間部の五郷町への出張診察も行う。5月に始まった新型コロナワクチン接種では、個別接種(医療機関での接種)の任を担い、460人への接種を実施した。通常の診察と同時進行のため多忙を極めた日々を、平谷医師とスタッフは、明るく前向きに乗り越えてきた。

 コロナ禍が続く日本の片隅の、小さな診療所の奮闘の記録。「せんせい」とお年寄りのあたたかな交流を通し、医の原点をみつめたドキュメンタリー番組。

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