紀南高校の筒井利江先生(書道)見事2回目の日展入賞
県立紀南高校の非常勤講師として生徒に書道を教えている筒井利江先生(新宮市在住)が手掛けた篆刻『按兵不動』(あんぺいふどう)がこのたび、公益社団法人日展による「改組 新 第7回日展第5科(書)」で入選した。通算11回目の応募で、入選は3年前の『開物成務』(かいぶつせいむ)に次いで2回目。筒井さんは「入選する確率が低く、ビックリしました」と喜びを語った。
日展は1907(明治40)年から始まり、114年の歴史がある。日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5部門と幅広く、日本の美術界を代表する巨匠から、第一線で意欲的に活躍している中堅、新人を多数擁して世界にも類のない一大総合美術展として、全国の多くの美術ファンを集めている。
筒井さんの出品した篆刻は、7・5㌢角の石面に印刀で文字を彫り、はんこ同様に朱肉をつけて紙などに押印するもの。今回の『按兵不動』は、紀元前239年に完成した、秦の呂不韋が食客を集めて共同編纂させた書物「呂氏春秋」(りょししゅんじゅう)に出てくる言葉で、「状況や様子を見ながら良い機会が訪れるのを待つこと」を意味する。
「意味と言葉の持つバランスの良いものを探して、辞書やネットなどで調べた」と筒井さん。彫る際に線が弱くならないように気をつけたという。今回は苦手な〝動〟の文字にも挑戦。この漢字に含まれる〝力〟の形のとり方が難しいという。
入選を受け、来年への意欲も高い。筒井さんは「今年より少しでも納得のいく作品が作れれば」と今後を見据えた。

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